田端(大阪芸大):
住宅だけでなく、 ニューヨークの仕事についてうかがいます。 先ほど職場がマンハッタンから郊外に出ていく一方、 エリートでもNPOに就職している場合があるとおっしゃっていました。 仕事をするには相手が必要なわけで、 仕事がコミュニティをつないでいくし、 違うコミュニティとのつながりも出来てくると私は思います。 今、 ニューヨークで活動しているNPOの雇用事情はどうなっているのでしょうか。
平山:
マクロには、 雇用も住宅事情と同じく分裂していると言えます。 企業エリート、 弁護士、 会計士などのエリートがものすごく増加している一方、 マクドナルド・プロレタリアートと呼ばれるサービス業の店員が増大しています。
CDCは住宅を作る際、 それが雇用につながるよう頑張っています。 よくある例は、 CDCでゼネコンを作って、 近所の青年を集めて工事をさせてみることです。 面白い例として初犯少年プロジェクトがあります。 初犯の青少年を裁判所にかけ合って現場工事にあたらせるということをやっています。
有名なバナナ・ケリーという大きなCDCともなれば、 スウェーデンの資本を呼んできてリサイクル工場を建てるというグローバルな展開をしています。
若い人の失業問題が深刻で、 その解決がCDCの雇用プロジェクトの大きな目的です。 また、 もう一つの目的は、 元ホームレス用に比較的軽い仕事を提供することです。 家賃集めや掃除などの仕事を斡旋しています。
また、 ノンプロフィットはその組織とは別に営利会社を持つことができます。 儲かっているのかどうかは分かりませんが、 たとえばよく行われているのは食堂経営で、 そこで雇用を吸収しています。 要するにCDCは、 住宅と店舗をセットすることで雇用も増やせないかと試みているわけです。
マンハッタンの雇用事情
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