都市再生の都市デザイン
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加藤流説得術、
および仕事への関わり方について

 

経済、 政治に働きかける

加藤

 最初に申し上げたように、 都市デザインとか都市環境デザインは、 空間や景観を作り上げるデザイン面での力だけではなく、 それを「実現できるのだ」という思いこみが必要です。 また、 私の中にはそれがあると思います。 その思いを政治や経済に作用させて作っていくのが、 私のスタイルです。 空間や景観を提案するだけではなく、 作り出すために政治・経済までにも働きかけようとするのですが、 これはアメリカでアーバンデザインが出発したときの基本的な考え方です。 つまり、 基本を忠実にやっているというわけです。

 具体的に現場で何を言っているかを申し上げると、 やはり制度や手法など事業の仕組みを私はよく知っているわけですから、 例えば丸亀の駐輪場移転の際のペナルティについても、 「時間が経てばペナルティは減ってくる。 実際に再開発事業ができる15年後には、 計算すればこの程度で済むんです」という風に訴えました。

 また、 有光さんから建設省と話し合いをしたのかというご指摘が出ましたが、 あの時はまず市と一緒に県の方へ「駐輪場を壊したいんだ」という話をしに行きました。 県を説得する一方で、 建設省の方にも「いずれ丸亀からこういう案件が上がってくるはずだから、 よろしく頼みます」とフォローしておきました。

 建設省に行ったということは、 市にも県にも黙っていましたが、 ある意味では政治や行政の力を借りても、 空間を作り上げたいという私の思いがそうさせたのでしょう。


設計・工事段階まで関わる仕組みづくり

 井口さんがおっしゃった「段階を経ていくうちにおかしくなって、 景観形成が駄目になる」という問題について、 私の場合はどうしているのかを説明します。

 たしかに段階を経ていくうちに、 専門デザイナーが入ってきて我々が直接手を出す仕事は減っていきます。 しかし、 その過程でも最後まで関われるような仕掛けを考えます。 例えば、 現場で調整事項が発生したときには、 必ず我々の所に相談しに来るようなシステムを、 市に頼んで作ってもらいます。 だから、 帯広にも私はいまだに出掛け、 現場を見ることが出来ます。

 ただ、 このシステムは場合によっていろいろで、 丸亀の場合は現場監理までの費用を市がちゃんと出してくれましたが、 帯広の場合は若干出るだけ、 花巻に至ってはボランティアで見に行くという具合でした。 お金に関しては割にあうというものではありません。 それでも、 引き受けた仕事については、 最後までしつこくつき合うのが私のやり方です。

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