久保:
私も加藤さんと同じような仕事をしています。 加藤さんの場合、 最初の基本構想の段階で空間計画を行い、 設計段階で景観計画を行うとおっしゃいましたが、 たぶん最初の段階で場のイメージや空間のイメージのコンセプトを出されるんだと思います。 そして、 そこに参加される方にはまず、 空間を読みとって欲しいという要望が加藤さんにはあるんじゃないでしょうか。 デザイナーに能力があれば、 こちらが考えている以上に空間を読みとってくれる可能性がある。 加藤さんがおっしゃりたいことは、 こういうことではないでしょうか。
他者を入れずに「何もかも一人でやってしまう」のは、 都市の多様性を考えると方向性としては良くないと私も思います。 コンセプトというのは基本的には「謎」ですし、 こういう仕事はコンセプターが謎をかけ、 デザイナーがそれを解くという行為なんだと思いましたが、 いかがでしょうか。
加藤:
そこまで高尚な行為をしているつもりはないのですが、 概ね同じように考えています。 また、 清濁併せのむという感じもしています。 私は建築家が出してきたものに「そうだな」とうなづけるようになりたくて、 いろいろと条件を示し、 調整しているわけです。 ただし、 あまり細かい点にこだわることはありません。 むしろ、 彼らはそれぞれの立場でベストの案を出してくるものだと思いますから、 その人たちに任せようと思うんです。
例えば、 帯広の北口の駅前広場にレール・モニュメントを残そうと言うのは我々ですが、 その入れ方をどうするかについてのディテールは、 私なりの考え方を示したり、 同じようなことをやった他のランドスケープ・アーキテクトを紹介したりしましたが、 最終的には下田さんの案でまとめました。 細かいことはあまり言わないのです。 いろんな処理の仕方があったと思うのですが、 それを決めるのはデザイナーの仕事で、 我々は出された案を見て「うん」とうなづく。 そういうものですね。 適当なところで満足していると言っていいかもしれません。
都市計画のコンセプトとは
「謎かけ」を解くようなもの?
このページへのご意見はJUDIへ
(C) by 都市環境デザイン会議関西ブロック JUDI Kansai
学芸出版社ホームページへ