ダルムシュタットでは隣の自治体の郊外に大型店舗が出来てしまったとのお話しでしたが、 自分の市域外に大規模店舗が進出する場合でも、 それによって市域内が徹底的にダメージを受ける場合には、 調整する手段がドイツにはあると聞いたことがあります。 どういった仕組みになっているのですか。
春日井:
隣接する自治体の調整に口を出す例は特殊な場合で、 おそらく広域計画の一環だと思います。
都市計画法は国の法律です。 しかし、 「絵」を描く権利と責任は各地方自治体が持っていて、 自治体がつくった計画は強い力を持っていますから、 隣の街のプランニングをどうこうできるということはありません。
ただし、 特に大きな大都市圏、 フランクフルトとかルール地方とかには「広域圏計画連盟」という周辺計画の連合会があって、 影響のあるものはお互いに話し合いながらプランニングをコントロールしあいます。
だけど基本的には、 自治体は自分のプランに絶対の権力を持っています。
大阪市役所の北野と申します。
ダルムシュタットの例に関連して、 ドイツでは大型店を誘致するにあたって、 固定資産税を下げるといったインセンティブがあるのでしょうか。 ここでの例でなくても結構ですが。
春日井:
ドイツの場合は事業税が地方自治体に入るので、 地方自治体としては大きなものが来れば非常にありがたいわけです。 ですから、 セントロでもあんな無茶なものができたのでしょう。 そう考えると、 ダルムシュタット市としては、 郊外に大きなものができればそれだけ事業税が潤っただろうと思います。 しかし、 市内に入れて小さくしました。
私たちプランナーは、 税金制度とかお金に非常に弱いので、 それぐらいしか分かりません。
都市問題経営研究所の太田と申します。
ダルムシュタットの再開発事業で、 第一期工事と第二期工事は市の用地を賃貸して建物をオーナーさんがつくっていました。
第三期工事では、 敷地が結構細分化されているように感じたのですが、 あそこも底地が市の用地で、 その上を借りているんでしょうか。 それとも、 日本の再開発事業の権利変換方式なり用地買収方式のように、 住民の権利を置き換えるなり買収した土地なのかということをうかがいたいのですが。
春日井:
第三期の開発は確かに日本の再開発事業と同じで、 以前ガソリンスタンドとか駐車場のあった民間の土地です。 地元のディベロッパーが土地を買い上げてやろうとしている場所ですから、 日本で考えられている市街地の再開発と考えていいと思います。
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