建築/都市/まちづくりへ
左三角
前に 上三角目次へ 三角印次へ

関西学研都市・木津南地区の近隣商業施設
ソレイユ

画像mi046
ソレイユ、 遠景((C)by松村芳治)

画像mi047
ソレイユ、 夜景((C)by松村芳治)
 関西学術研究都市はいくつかの中規模のニュータウンがクラスター状になっているのですが、 そのうちの一つで最も奈良寄りのニュータウンが木津南地区です。 そこの近隣センター(レストランと商業施設)と周辺の景観デザインを依頼されました。 ストリートファニチャーは他の人が担当したのですが、 それ以外については公団と議論しながらまとめていきました。 この街角一帯は、 平成11年度都市景観大賞(景観形成事業部門)を、 住宅・都市整備公団関西学研都市事業本部が申請者で、 受賞しています。

 道路が十字に交わるところにある敷地で、 角地にサブテナントを入れ、 道路にそって奥にはスーパーがあり、 この2つのテナントの間に専門店を置くという教科書的な納め方にしています。

 各テナントが入る近隣商業施設については、 地元への配慮もあって地元商工会からの希望を募ってカットハウスと薬局、 花屋を入れようということになりました。 真ん中にスポット的な広場があるので、 その角に花屋を持ってくることを提案しながら施設構成を考えました。

 ここのコンセプトはセンチュリープラザとは違って、 「スーパーに来たついでにテナントにも寄ってみる」というものです。 ですから、 いったんこのゾーンに入ると、 コリドーを利用して、 各テナント間を移動する、 という構成にしてあります。

 また、 できるだけ地域のポイントとして認知されるよう、 建物構成をまとめています。 くぼんでいるエリアでしたので、 建物の高さをなるべくとってボリューム感を出しました。 そうしないと視認性が低く、 中心性が出ないからです。 お金は少しかかってしまうのですが、 公団の人を説得しました。

画像mi049
ソレイユ、 階段広場((C)by松村芳治)
 当初から敷地に1.8mぐらいのレベル差があったのですが、 それを解消するために階段広場を作りました。

 階段広場のオブジェは城戸真亜子さんがデザインしました。 城戸さんの人選は公団が行ったのですが、 置き方やプレートの付け方は、 こちらから注文して城戸さんにデザインしてもらいました。 城戸さんはオープンセレモニーのキャラクターとしても成功したと言われています。

画像mi052
ソレイユ、 コリドー部分((C)by松村芳治)
 商業施設ではサインの問題が後から絶対出てきます。 そこで商業者から苦情が出ないよう、 こちらもあらかじめ理論武装しておく必要があります。 お金に余裕があれば枠組みの中にきちっと納めるサインにしておきたかったのですが、 お金とのバランスを考えながらサインの大きさもこちら側で決め、 商業者に納得してもらいました。

画像mi056
ソレイユ、 近商内部((C)by松村芳治)
 スーパーは設計当初は天井を高く取っていたのですが、 スーパー側から「天井が高いと空調費がよけいにかかるんで困ります」と言われ、 変更しました。 商品棚の所は商品を見てもらうため天井を低くし、 空いたところにはいろんな機械設備を入れました。 レジ部分やコピーを取るところでは屋根のRの形を生かして、 天井を高くしています。

画像mi058
ソレイユ、 レストラン「サン・マルク」外観((C)by松村芳治)
 私は角地のサブテナントには是非レストランを入れたいと思いました。

 レストラン「サン・マルク」はパンがおいしいことでも知られていますが、 支店は独立型店舗が多く、 ビル・インタイプは珍しいそうです。 ビル・インタイプにしないのは自店のイメージを保つためですが、 ソレイユの場合は、 計画内容をみて「ぜひ出店したい」と入ってくれました。

 「サン・マルク」に決まる前には他のテナントの話もあったんですが、 僕としてはここは女性がくつろげるようなカフェレストランにすべきだと思っていたのでイメージにそぐわないテナントは駄目だと言い、 良いテナントがあらわれるまで、 ずいぶんねばりました。 その結果希望以上の店が来てくれてよかったと思っています。 実際流行っているようです。 経営主体は奈良交通ですが、 年賀状でも「おかげで調子よくいっています」と言っていただけました。

 天井高を高くとったので一番高いところは10mぐらいあり、 とても気持ちのいいカフェレストランになっています。

画像mi059
ソレイユ、 レストラン内部
 レストランではガラスを多用し、 外から見えるようにしています。 ただ西日が気になるので、 外には大きな木を植えました。 オープンしてから3年になるのですが、 おかげで西日でのクレームは出ていません。

 また、 天井高を外からも感じられるように、 壁の上部に丸窓を作っています。

左三角前に 上三角目次へ 三角印次へ


このページへのご意見はJUDI

(C) by 都市環境デザイン会議関西ブロック JUDI Kansai

JUDIホームページへ
学芸出版社ホームページへ