魅力ある個性的な“地域デザイン”を求めて
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8。 事例4
地方小都市の総合計画における
地域資源の評価と構造

 

 各論の四つめとして温泉町の総合計画、 町勢振興計画を取り上げました。

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温泉町の生活圏構成と地域資源分布
 図は生活圏構成と地域資源の分布について、 パターンで表現しています。 集落は尾根と川筋で構成された圏域ごとに配置されており、 それが市町村合併して温泉町となったのですが、 元々は別々の村だったのです。 ですからそれぞれ地域資源に対する評価も違うわけです。 昔は奥のほうから湯村の温泉街の中心市街地まで行くのに歩いて2時間では行けなかったのではないでしょうか。 ですから日常的には閉鎖社会でした。 そういうなかで地域の資源や風土が育成されてきたわけです。

 そんななかで46の地域資源を抽出し、 住民に評価してもらいました。 認識評価と認知度と特性評価のランキングでは「荒湯」が第一位にランキングされ、 「但馬牛」や「泰雲寺のしだれ桜」などもずいぶん高い評価です。 冬の味覚である「松葉ガニ」、 海上という集落に伝わる「傘踊り」も評価は高い。 こういう古くからある地域資源の評価は高いのですが、 新しくできた県立の「但馬牧場公園」や町立の「リフレッシュパーク」なども比較的上位にランキングされていて、 先ほどの森具の公園と同様に地域に合った良いものができれば、 地域の人たちは地域資源としてきちんと認識するということわかりました。

 一方で「湯村温泉のヘリポート」は一番ランクが低いんです。 緊急時用という意味では評価しているとは思うんですが、 日頃使う事がありませんので、 どうしても評価が下がってくるということがわかりました。 それから「湯村温泉街」も評価が比較的低い。 このようにどの辺が低いのか、 なぜ低いのかを分析するわけです。 以前はまちづくりをする時に、 こういう地域資源がありますよ、 これを活かしましょうということで終わっていたのですが、 私はもう少しつっこんでその構造を分析しようと考えました。

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地域資源のレーダーチャートグラフ分析
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地域資源のレーダーチャートグラフ分析(地区別、 年齢別、 荒湯の場合)
 そのためにレーダーチャートというグラフにして、 親しみ・好感・誇り・美しさ・雄大さ・歴史性・希少性・魅力という八つの指標をつくりました(写真左)。 これは既存論文を参考にさせていただいて八つを選んだのですが、 そうすると地域資源ごとにあるパターンが出てくるわけです。 そこから地域資源の認識のされ方を知ることができます。

 例えば「荒湯」はほとんどの項目で評価が高いのですが、 まちなかにある小さな壺のようなものなので、 雄大さはない。 湯が沸き出しているだけなので、 美しさは欠けるという受け止めかたをされていることが分かります。 しかしこれは修景の仕方次第で高くなると思います(写真右)。

 それから地区別・年齢別にどういう評価をしているのかも調べました。

 地区としては岸田川上流域地区、 岸田川下流域地区、 熊谷川流域地区など5地区での評価を調べています。 どの地区も高い評価をしているものと、 地区によっては自地区は高いものの他の4地区は低いとか、 あるいは距離によって評価の差が出てくるということもわかります。

 年齢別としては、 20代から70代以上までのそれぞれの年代別の評価も調べました。 先ほどの「荒湯」はどの年齢層でも高いのですが、 「泰雲寺のしだれ桜」などは20代では低く、 高齢になるほど高いということがわかりました。 「温泉町のヘリポート」などはどの年齢層も低い評価しかしていませんでした。

 このように地域住民にとって、 各地域資源の評価と構造がわかりますので、 これを元に地域の人と行政が一緒になって、 改善できる所は改善し、 地域資源をまちづくりに活用していく時の目安として使えるのではないかと考えました。

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