水と都市の環境デザイン
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水との共生の観点に欠ける臨海副都心

 

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世界都市博覧会の全体配置図
 われわれ都市計画家、 都市デザイナーのつくった一つの頂点は、 おそらく筑波であるだろうし、 いくつかの団地設計です。 しかし筑波に行っている研究者のかなりの人たちは、 そこに住まないで東京から通っています。 都市計画が優れていると言われ、 磯崎新がつくったホテルやいろんな立派な建築ができても、 住んでみたいという街になっていません。

 これは、 中止になった東京の世界都市博覧会の全体配置図です。 この埋立地はお台場になったりフジテレビの本社ビルができたりと大変賑わっています。 しかし私はこれを見て大変がっかりしました。 これのどこに水辺との関係があるのか。 これを切り取って東京の他のところにつくっても同じじゃないですか。

 この博覧会に参画した人が本を書いていますが、 当初、 運河をつくるという構想があったそうです。 しかし採算性などからつぶれました。

 一方、 プロデューサーの一人でっあった丹下健三氏が強く主張したのは、 彼が1960年代に主張したメガストラクチャーの再現です。 建物が両側にあり、 地下には共同溝があり、 人工地盤を二層三層に重ねて、 人と道路とそれらのインフラを分けていくものです。 それが未来都市だということで、 それを導入しようと提案されました。

 世界都市博覧会は21世紀の都市づくりを目指すということです。 たしかに新交通もあるし共同溝もできあがっている。 建築のデザインもハイテクでポストモダンなものもあっておもしろい。 しかし都市デザイン、 水辺との関係で考えたら、 先ほどから見ていただいたベネチアのように、 水と暮らすということをどのように捉えているのでしょうか。

 一番最初に地球は宇宙から見たら一つの水の惑星という存在であると申しましたが、 われわれ都市デザイナーは陸地から見る視点しか持ち得ていなかったのではないでしょうか。 水という観点からもう一度都市デザインを考えると、 これは陸地をつくっているんじゃないでしょうか。 陸の経済的論理であり技術で水辺をつくっている。 たまたま水辺が空いていたからつくっているんです。 水辺にしかできないことや、 水とどのように付き合うかというのがない。 若い人たちには人気があるそうですが、 専門家に、 あれは良いなあ、 とか言われると疑問を感じます。

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臨海副都心
 臨海副都心には水辺があり砂浜もあって、 カップルが集まる場所にはなっています。 立派な橋も架かっています。 なかには自由の女神まである。 しかし、 水との共生の観点に欠けているこの臨海副都心が、 残念ながらわれわれの都市デザインがつくりだした近代都市計画、 都市デザインの頂点の一つです。

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