緑としての建築
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批判2

上野氏への質問状

京都造形大学 井口勝文

 

 こっちは攻める方だから、 今度は角度を変えて攻める策をとります。

 質問その1・丸太町通りの昔の写真を、 京都の(それも姉小路界隈の)これからつくるべき街並みのひとつの到達点と考えてるんですか?
 

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丸太町通 熊野神社道西入 明治44年9月 出典 写真で見る京都今昔、新潮社
 
 質問その2・軒庇から下、 つまり町家のファサードを連続させることに賛成ですか。 (必ずしも格子が、 簾がとは言いません。 スケールと趣きの連続です?)。 連続させると昔丸太町にはなりません。

 

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姉小路通りモンタージュ
 
 結局論点は、
 (1)通りに直接面してどの程度緑を入れるのか。 つまり通りのファサードを建築と緑のミックスにするとして、 そのとき緑と建築の比率はどうなるのか。 先に言わせてもらえば、 ファサードに占める緑の比率の許容(!)範囲は(感覚的ですが)マックス5%。 つまり10軒に1軒は塀越しに緑の木立が見える程度。 僕のお勧めはファサード連続スタイルです。

 (2)「緑は奥に引っ込め!」と僕が言えば、 上野さんは「建築馬鹿!」と言って話はもつれるのか。

 京都の街並みの深刻な問題はそのファサードに加えて、 シルエットにあるでしょう。 つまり町全体のヴォリューム。

 ここではその「奥」が大きな課題です。 奥がコンクリートの壁が大きく立ちはだかるようなものでいいのか。 シルエットをつくるものが大きなヴォリュームの建築物だけでいいのか。 いい筈が無い。

 ここに昔丸太町の写真のイメージが生きてくる気がします。

 そこに、 奥の立体坪庭に、 緑のブロッコリー(木立)が入らないか?
 それが昔丸太町に見る町なかの巨木に当たるんじゃないか。

 「ファサード」と「奥」。 この二つを対置しながら話すことを提案します。

 ついでに言っておきますが、 その「奥」が壁面緑化のアデランスデザインでは昔丸太町にはならない。 やっぱり風の吹き抜けるブロッコリーデザインにしたいと、 あくまでも言い張っておきます。

 ここまで書いてやっぱり思い当たりました。 僕も上野さんに対抗して絵を画かなければ勝ち目が無い。 支持者が得られない。 画きますので今回はここまでで勝負判定は持ち越してください。

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