犯罪防止に都市環境デザインはどう貢献できるか
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1. 増える刑法犯、 下がる検挙率

 

 私が言うまでもなく、 ひったくりはもちろんのこと、 路上強盗や現金輸送車が襲われる事件が枚挙に暇がないほど報道されています。 まさに日本の安全は神話になってしまったかのようです。 かつての日本は夜、 どこの街を歩いても安全だというのが常識でした。 しかし今では、 日本の夜の街は毎日誰かがひったくりに遭い、 犯人のバイクや車に引きずられて大けがをしたり、 殺人事件にまで発展してしまう事態になっています。

 また特に注目するところは少年による犯罪が急激に増えていることです。 警察庁が平成13年の「警察白書」を発行しましたが、 そのサブタイトルが「21世紀を担う少年のために」となっていました。 後で詳しく述べようと思いますが、 実はひったくり犯人の約75%は中学生高学年から高校生までの少年たちです。 彼らがまだ若いうちに犯罪の味をしめたら、 大人になった時どんなになってしまうだろうかと心配になります。

 少年の犯罪を語る時、 ややもすると家庭や学校の教育問題に話をすり替えて、 分かったような気になることが多いのですが、 私はもうそんなレベルで終わってしまって良い時代ではないと考えています。

 先ほど正木先生のお話にもありましたが、 平成12年の全刑法犯の認知件数は224万件、 つい先頃出た平成13年1月〜11月の統計では既に250万件を越えました。 ちなみに日本の人口で割ると50人に1人の割合で何らかの犯罪に遭うという現状です。 大阪に至っては30人に1人ですから、 今日お集まりのみなさんのなかでどなたかが年に1度、 何かの犯罪に遭ってしまうという勘定になります。 こんな風に話をしていくと、 日本は本当に法治国家なのかと疑いがわいてくるぐらいです。

 一方、 検挙率の方は全体で23.6%(平成12年)、 平成13年1月〜11月は20.2%となっています。 100件の事件のうち80件の事件が未解決という現状です。 さらに殺人や強盗のような重要犯罪の検挙率は、 昨年の1月〜11月では53.7%しかなく、 半数しか犯人はつかまっていません。

 このような中で、 警察庁ではピッキング用具を使った侵入犯、 組織的に敢行される自動車盗、 少年等によるひったくりの3類型を「特定重要窃盗犯」と位置づけて、 捜査・防犯の両面から諸対策を推進しているところです。

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