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公共空間に絡むやっかいな人々

 

土井

 質問をひとつと意見をひとつ、 話させていただきます。

 まずお伺いしたいのは、 先ほど話された東南アジアの街路空間についてです。 私もとても好きな空間です。 たまたまジャカルタに行ったとき、 そこに住んでいる人に「みんな家に台所がないから路上の屋台で食事をするんだ」と、 うらやましいような悲しいような話を聞きましたが、 日本の場合を考えると、 路上空間を豊かにしようと思ったら、 路上だけじゃなく、 日本人の生活のシステムを考える必要があるのかなと思いました。 最後に話された指標行動の条件のようなことですね。 たまたまジャカルタだけに台所を持つ家が少ないから屋台が多いのか、 その辺のことを教えてください。

 意見の方は吉野さんのお話に近いのかもしれませんが、 公共空間に絡んでくる人たちとより公明正大な運営についての事です。

 私が以前会社の仕事の関係である広場の管理を体験しました。 その広場には屋台があってそれ自体はウエルカムな事だったのですが、 気が付いたら屋台関係の自動車がいっぱい入ってきてそれが倉庫のように使われていました。 なんとしてもどけてもらわないと一般の人たちのじゃまになるという事態になったのです。

 で、 気を引き締めて「車をどけてください」と大分粘って交渉することになりました。

 警察や道路管理者の人たちも、 こういうことを体験されているので管理志向になり勝ちなのではないかと思います。 澤木さんのお話に出たイタリア料理店の屋台は「もっと街ににぎわいを作りたい」という思いから出店した例で、 先ほどの屋台の話とは違うタイプでしょうが、 賑わいがあって管理が曖昧な空間には強面の人たちが入り込もうとすることがあります。 ですから、 屋台を全く禁止するのではなく、 管理が曖昧で早い者勝ちの空間にしないためにも、 賑わいをもたらす屋台の営業などについて、 もっと条件などを公開して入札制度などを取り入れるようにすることが必要と思います。 都市ににぎわいをもたらすと同時に、 利益も出るというシステムをつくったらどうかと思うのです。 曖昧な空間のまま残っていると、 広場などの「不法占用や既得権問題」と「賑わいや楽しみの空間形成」との間を揺れ動くことになります。 できれば、 TMOとかNPOが管理者から空間運営を任されて、 そのNPOなどが空間運営に関する要綱などを公開し、 「この指とまれ」した人たちに賑わいや楽しみを演出するカフェなどの活動を行ってもらう仕組みが必要と思います。

 パリでもカフェの道路占用を認めて市がお金を取っているということですので、 厳しい地方財政に少しでも助けになるようにしたらどうでしょう。 競争原理を働かせ、 エリアを定めて、 よりたくさんの集客をし、 より高いお金を払えるところに空間を貸し与えるというガイドラインを明確にするということです。 そんなシステムを作っておくほうが都市もにぎわうだろうし、 受益者もたくさん出てくるし、 しかも不法占用問題などの面も消えていくということになると思います。 さらにNPOの活動の場を提供し、 しかも都市に賑わいをもたらし、 それが都市の財政を幾らかは支える原資になると思います。

澤木

 最初のご質問のアジアの街路空間に関しては、 ベトナムでは日本の台所ほど高水準ではないけれど、 どの家にも台所設備はあると思います。 しかし、 街の屋台はにぎわっています。 日本も江戸時代に長屋が多くなると、 外食産業が発達したという歴史はあります。 家で作るより外で簡単に食べられて安あがりだし、 そこが社交場にもなっているという生活スタイルがまだ東南アジアには残っているという印象を受けました。

 二つ目のご意見の「都市ににぎわいをもたらすガイドラインの必要性」については、 ごもっともな意見だと思います。

 公共空間にはどうしてもダーティの世界が付いて回るので難しいところです。 管理上の問題では、 それ以外にも不良少年グループがたむろしたり、 ホームレスの方が住み着いたりということがあります。 この辺の扱いは難しいところですが、 土井さんがおっしゃった入札などにしてお金をとって空間を貸すという仕組みは、 有効だと思いました。

 一方で、 そういう管理の問題があるから制度を大きく変えられないというのも事実だと思います。

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