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次は2年目くらいに担当した、 千葉ニュータウンにあるTCセンターというプロジェクトです。 この建物正面のエントランス部分を私が担当しました。 また、 ビルがたくさん建ち並ぶ中にあるため、 駅からこの敷地までの途中にポケットパークが必要だということで公園も設けられました。
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これが原設計の形です。 最初はこのデザインでしたが、 ここから「本当にこれでいいか」ということで、 最後までデザインの検討を重ねていきました。
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今日は「都市環境デザイン」ということで、 建築単体よりは外部空間に関わるデザインについてお話したいのですが、 実はここにも先ほどの橋岡さんの話と同じように民間と公共の境界があり、 そのラインは見えませんが存在します。 この歩道と車道は公共のものです。 しかしそれをはっきりと分けて見せないように、 相互に不自由なく行き来できるようなデザインにしてあります。
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それか連絡送水口や排水マス等、 都市生活に必要な設備はきちんと整えつつ、 自然や水も含めてデザインしていきました。 まず打ち放しのコンクリート塀の外側に水が張ってあって、 木があって、 そして歩道という取りあわせになっています。 ここでは「まちなみ」あるいは「都市の生活」を意識して、 それを建物の中身ではない部分でどのように解決していくかということを考えました。 次にガードハウスですが、 当初案は「鉄仮面がこっちを向いているような表情」で嫌でしたので、 これをどうにかしようと思い、 庇を横に向けたデザインに変えようと検討しました。 建築設計をやっているとどうしても検討、 検討と、 いくつも案を出していくことになります。 色は施主のトレードカラーを使いましたが、 デザインはもちろんのこと、 バランスもどれくらいが良いか検討しました。
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一番やりたくないものも一度描いてみます。 そうすると、 この案では入口の半分が打ち放しの壁で、 向こうが見えないことが良く分かります。 そこで、 「透ける案」です。 アルミパネルやガラスを使って、 透けて見える軽いイメージの案を作って、 重い案と軽い案を比較して検討しました。 このように好対照な複数案を一度作ってみると、 イメージが伝わりやすいと思います。 最終的には、 ガラスの部分がさらに多くなって、 本当に透けるデザインになりました。 これらの自分が描いた案を、 当時のアトリエの私の席の後ろに作ったボードに並べて貼っていました。 そうすると自分が今何をやっているのか、 何を考えているかということを自分でも確認できますし、 こういうことをやっていると他の人も分かってくれるわけです。
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検討はまだまだつづき、 構造を決めて、 平面図・立面図も描いて、 関係部門とも打ち合わせしました。 ガードハウスには電動のゲートをつけるのですが、 「ゲートのエンジンのカバーをどう納めるのか」とか、 「ここを開けるようにするのなら、 この部分に丁番が必要だ」と言った具合に、 必要なものは全部、 詳細図に描いて、 一つ一つ確認していきます。
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そして完成です。 わりと自分の思い通りになって満足しています。 予想した事が予想した通りに起こりまして、 確かな施工技術のおかげで正確な図面を描いて検討すれば、 その通りにできるという事を再確認しました。
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それから同じ物件の庇のデザインですが、 元々は長方形のデザインだったのですが、 入ってくる人に対して横向いて「いらっしゃいませ」と言ってるような印象でした(笑)。 「良くないな」と思いましたので、 「おにぎり型」を提案しました。 これもどのくらいの「おにぎり型」かとか、 どのくらいなら雨の日に車が着いたときに来客が濡れずに中に入れるかなどを検討しました。
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外装についても模型を作って検討しました。 バックパネルの使い方、 サッシの使い方、 窓の割り方一つとっても、 細かく割る案もあればおおざっぱな案もあり、 いろんなバリエーションが考えられました。 設計部としては、 どの案がどんなふうに見えるかということを予想して、 その中からある確信を持って案を選択し、 実現させるわけです。
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次は交差点付近のデザインです。 この建物では直角を作りたくないということで、 実は全て切り抜形状を使っています。 切り抜形状がどうしたら一定の流れを作り出せるのか、 色々と検討しました。 全体としては良かったのですが、 竣工後に彫刻を置かれました。 置くなら置くで、 最初からコラボレーションした方が良かったのではないかと今では思っています。
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それから公園についても、 最初は舞台も座れる場所も無かったところを、 検討を重ねてこういうデザインにしました。
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この建築について主に考えたことは、 「建物の外側を都市環境として、 どうデザインするか」ということです。 キーワードとしては「歩ける、 休める、 連続する」ということでした。 当時の私としては8〜9割は出来たかなと思っています。
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さて、 次にコンセプトワーキングの話になるのですが、 これは私が開発の部署にいたとき関ったプロジェクトで、 配置計画と土地利用計画、 それから若干起伏がありますのでランドスケープの計画を5人くらいのチームでやりました。 私は主にコンセプトワーキングを担当しました。 「いろんな人に会える場所 遊んで学んで発見して これが僕らの“多摩タイム”」というキャッチコピーを徹夜で考えて、 自分で悦に入っていました。 竣工後、 ある雑誌の記事に、 “多摩タイム”がそのままこの建物の名称として使われていることを発見しました。 「建築作品としてどうか」というのは置いておいても、 キャッチコピーとしては、 とにかく受け入れられたのだと思います。
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このように面を分け、 いわゆるフライタワー(舞台上部)を目立たせる案、 同じようなデザインでバナーがもう少し小さい案、 建物の存在感を消して壁面のグラフィックサインを目立たせる案や、 その他まったく違った案も作成しました。
Aシアター内外装リニューアル
この建物は、 もともと使用中の二つの建物のうちの一つをリニューアルして、 少し違った用途で使用しようというもので、 ファサード、 スクエア、 ロビーのデザイン変更を提案しました。
外装リニューアル案 A-2案
外装リニューアル案 A-1案
外装リニューアル案 B-1案
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採用されたのは結局、 シンボルマークが一番目立つ案でした。 図と地の関係が一番良いのはどれかということと、 グラフィックサインは良い、 という事でこれに決まりました。
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これは興行場なので夜に人が集まります。 そこで夜景を意識して、 夜になるとこの柱の存在が消えていくように色を変えました。 庇が建物にさりげなくついていて、 やがて建物自体が夕闇に沈んでいく感じです。
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それから、 VIPルームを作りたいとのことで、 この建物の中のどこがいいのか、 このスペースなら何m2、 何人入れます、 といった仕様を整理して、 検討のための図面を描きました。 その後、 壁や天井の仕様、 照明、 部屋のレイアウト、 設備等についても全て図面に落として検討しました。 これはあまり都市デザインには関係ありませんが、 とにかく使用上、 必要なものを必要なだけ作るという事が大事ではないでしょうか。
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定禅寺通りプロムナードプラン |
これは私が東北大学在学時に卒業設計で取り組んだもので、 これが一番アーバンデザインに近いかもしれません。
仙台市のプロムナードプランを勝手に設定しました。 ここを一回りしたら仙台の良い所がだいたいわかるというコースですが、 途中の定禅寺通りの西の端のところで切れていましたので、 ここを橋で繋げようと考えました。
ここにはケヤキがたくさんあって雰囲気の良い通りなので、 このケヤキを対岸まで渡したらどうかと考えました。 ケヤキそのものを渡しても、 建築でも何でもないので、 ケヤキのグリッドが建物のグリッドになり、 最後にまたケヤキとして蘇生するというストーリーを描きました。
高低差が十数メートルあったのですが、 それを落として向こう岸につなげるプランです。
平田町タウンセンター施設整備コンペ・プラン |
施設としての機能はきちんと満足させておいて、 この施設に入るまでのストーリーを作ろうということで、 まず夜店ができるようなスペース等をいろいろ検討し、 また施設間をつなぐような廊下はどうあるべきか、 中央の広場はどうあるべきか等を考えました。 最終的にこのプランを出しましたが、 選ばれませんでした(笑)。
中野坂上本町一丁目地区再開発事業 愛称募集チラシ |
私も、 この中野坂上本町一丁目地区再開発事業の愛称コンペに「LOVE・LA・坂上」という愛称で出したら佳作に入選しました。
水上文化公園 マザーシップ・イメージ |
応募したらまたも佳作に入りました。 ジャーディの案よりもいいんじゃないかと秘かに思っています(笑)。
御崎公園スタジアム愛称募集 |
「K. Marine(けまりん)」という名前で、 Kは神戸を表しています。 「神戸の海を全世界にアピールし、 新たなスポーツ文化を発信するにふさわしい、 英語によるさわやかな愛称とした。 また当スタジアムがサッカー、 ラグビー、 アメフトなど「蹴る球技」のメッカになることを願い、 日本の伝統芸能である「けまり」をもじった親しみやすい読み方とした。 神戸の子供達にも受け入れられると思われる。 」と書いて応募しました。
内心、 「やったな!」、 と思いましたが全然ダメでした(笑)。 今この施設は「神戸ウィングスタジアム」という名前になっています。
平気な顔をして話していますが、 私のこのような案を皆さんにプレゼンするのは、 実はものすごく恥ずかしいことです。
しかし、 デザイナーを目指すのであれば、 恥ずかしいとかは関係なく、 それ以上に何かに応えていくべきだと思って、 今日は恥をしのんでプレゼンしています。