古の中のアヴァンギャルディズム
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なまこ壁

 

なまこ壁の工法

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なまこ壁作業手順
 大直し、 小直しをした上に、 瓦の割り付けをします。 また図にはありませんが中塗りと上塗りの間には砂ズリを入れます。

 断面図は大壁の場合です。 なまこの幅は55〜60ミリぐらいです。 広すぎると不細工で、 狭すぎても格好がつきません。 一番上は棒漆喰ですが、 これはなかなか難しいんです。 斜めに下がる品物ですから、 下から良く見えるので。

手を良く使います。

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なまこ壁・割付墨出〜貼り付け
 割り付け墨出しの後、 張り付けている様子です。 右に貼っていきます。 写真の場合は5段ぐらい貼るのだと思います。 貼りながら目地底を埋めています。

 泥の上に直に張らずに、 漆喰と砂を調整した下地を塗っています。 そうしないと瓦が浮いてくるからです。

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なまこ壁瓦貼りつけ
 下地の漆喰が良く分かる写真です。

 瓦の真ん中の穴は、 竹釘などで瓦を止めるためのものです。 貼っただけでももつのですが、 より強くするためです。 その竹釘の先端が見えないように梵天漆喰をつけます。

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なまこ壁瓦貼りつけ
 右は瓦庇の取り付けの様子です。 50とか30の勾配があるので難しいのです。 少々の勾配では風で水が逆流するし、 急だと取付が難しいしと、 腕が必要な部分です。

 上には役物の窓が見えていますが、 この部分は結構むつかしいんです。 金物(丁番のひとつが)がゆるんでいたから(扉が片方斜めになっていたから)です。

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なまこ壁・窓廻り
 窓廻りです。 瓦庇がついています。

 まず庇の押さえ瓦があり、 右と左の端にもう一枚貼り降ろします。 そうすると感じが全然違ってきます。 台面の両サイドがしまっていますが、 無いとしぐわないものもあります。

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なまこ壁、 妻の庇瓦
 右の写真は妻の庇瓦です。 中置きが真ん中に見えていますが、 真横から見ると変形してちょっとおかしいなというような仕上げ方が一番良いそうです。 (下から見ると)

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なまこ壁目地埋め。 目地荒付け
 写真は目地埋めが完了したところです。

 瓦庇の上に2枚貼っていますが、 このへんでは馬乗り貼りと言われています。 ぐいちに貼っています。 昔の瓦はねじれていて大きさも様々で、 仕事がちょっとやりにくいのです。

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なまこ壁目地埋め。 目地中塗り
 中塗りを始めたところでしょう。 汚れないようにコーキングテープを横に使っています。 蛇腹とかアールも見えています。

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なまこ壁荒付け
 中塗り状態です。 だいたい格好が付いてきています。 これを何週間か何ヶ月か乾かして上塗りします。 棒漆喰などは雨に合わさないように養生します。 ただこの例では仮設屋根が架かっていますから雨の心配はありません。

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なまこ壁荒付け
 こちらは荒付けの状態です。 縦格子は鉄のようです。

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なまこ壁中塗り
 左は中塗り状態です。 だいたいの型ができて奇麗に見えてきます。

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なまこ壁中塗り。 仕上げ
 これ仕上げです。 梵天も施工しています。

 なお瓦は普通は一番上を横にはって、 次に下を横に走ります。 上下が先です。 決して中からはやりません。 ガタガタしてしまうからです。

 なまこ漆喰も上下を先に塗り、 上から下に糸を一本引張れば、 中の出が全部分かります。 それに合わせて横を走ります。 最後に縦にします。

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なまこ壁(米蔵内部)
 米蔵の内部です。 先ほど裏返ししていたところです。 仕上げになっています。

 昔の瓦を撤去して掃除して洗って張り付けて仕上がっています。 掃除をして洗わないと張り付けても引っ付きません。


大橋家内蔵の修復

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大橋家内蔵南面
 大橋家の南側、 道路に面したところです。 とても奇麗です。 本格的な蔵です。 3年ぐらいかけて修復が完成したものです。

 右下は前の説明の中で、 下がり(半丁下がり)があるといった窓です。 鉄の棒で引き込むようになっています。 右の扉の蝶番の位置が下がっていましたので、 閉めた場合に合わないので、 とても苦労しました。

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大橋家米蔵東面
 これも全部裸にしてやり直しました。 柱にも全部番号をいれて、 それをまた全部復元したものです。

 割り付けをするのが大変なのです。 上ってゆくのと、 横からくるのと交差する寸法。 これが狂ったらへんなことになるのです。 庇の瓦との調整も難しいんです。

 9cmの角落ちもみえますでしょうか。

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