京都は再生するか〜百年後の水と緑をデザインする
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戸別更新を基本とする

 

共同化を前提としない街区構成と建築形態

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共同化を前提としない街区構成
 しかもそういうスリットを、 計画的にドカンとつくるということではなく、 個別の建替の集積によって、 どうやってつくっていけるかを考えていかなければならないわけです。 そのためにはやはり街区のあり方について、 地権者なり事業者なりが共通のイメージを持って、 事業を進めていかなければならない。 しかもそれは長い時間がかかります。 そういった長い時間をかけながら、 それぞれ個別に建て替えていきながら、 全体としての街区のあり方をどうやってつくっていけるかを考えていくことが、 これからの課題になってくるんじゃないかと思います。

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街区を構成する建築の形態
 そういうアプローチで考えていった時に、 一つ考えられるのは、 オモテの空間のあり方は、 これまでの京都の町並みが持っていたスケールを大事にしていくべきだろうということです。 そうすればおそらく低層になっていくでしょう。

 また、 街区に有効なスリットをとっていくためには、 ウラの高さもそんなに高くはできません。 うまく風を導き入れていくためには、 やはり全体として低層がベースになっていくのではないか。 そのなかで中層とか高層が点在していくというような形態になっていくのではないか。

 ただ、 そのためにはおそらく街区全体での開発密度をシェアリングするということが、 将来必要になってくるのではないかと思います。

 それは、 例えば高い建物を建てたい人が、 高い建物を建てない人が持っている権利を買い取ると言ったバーターをしていくということです。 たまたま先に建てた人が得をするということではなく、 そのメリットを全体に還元できるようなシステムを、 考えていかなければならないのでははいかと思います。


多様性を包含する街区/歴史の集積としての街区

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多様性を包含する街区/歴史の集積としての街区
 それと同時におそらく将来も古い町家が残っていくとか、 あるいは古い形で新しく建て直したいとか、 たぶんいろんな需要が出てくるだろう。 したがって、 色々な建築形態を包含していきながら、 例えば風の道をつくるだとか、 ヒートアイランド対策としての屋上の緑化であるとか、 あるいはオモテに対しての町並みの継承であるとか、 そういうものを一切合財包含できるような街区のあり方を、 これから考えていく必要があるのではないかと思います。

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街区内の様々な路地の形態
 そういうなかで、 例えば抜ける路地もあれば、 行き止まりの路地もあり、 あるいはU型に戻ってしまう路地もあって、 色々なオモテの道に対するウラの道のあり方が出てくるんじゃないかと思います。

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