京都は再生するか〜百年後の水と緑をデザインする
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街区の環境システム

 

緑(水)としての街区

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緑(水)としての街区
 次は緑の問題を考えてみましょう。

 一つはオモテの緑は点として出てくる、 連続はしてこない、 そういうあり方がまちの文脈としてあるだろうということです。 同じように水も点として出てきます。 例えば家の前に水槽があって、 金魚がいるというような、 そういう点として出てくる。

 それに対してウラは緑が連続していく空間である。 線状の緑になるわけです。 水についても(この水源の問題については、 のちほど取り上げたいと思いますが)、 こういったスリットを流れていく、 あるいは点々とあるというように線的に出てくるわけです。 それに対して、 オクという屋上部分は、 面的な緑あるいは場合によっては屋上に水を溜めるというような面的な水というようなものがでてくるわけです。

 このように点・線・面という形態の違いがオモテ・ウラ・オクという形に反映されています。

 右下の絵は緑や水のあり方を示したものです。 オモテは、 どちらかというと文化的な文脈のなかで、 「文化的表現としての緑」という側面が大きくなる。 それに対してオクは、 言葉が適切であるかどうかわかりませんが、 むしろ人の生活と自然との根元的な対応としての「文明的な緑」、 例えばそれぞれの地域的な文脈から離れた共通の都市環境に対応するような緑のあり方が、 オクに出てくると思います。


街区環境システム−緑と水と太陽

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街区環境システム―緑
 これはオモテ・ウラ・オクの緑をどのように考えているかを断面的に表したものです。 オモテは基本的に緑がそう出てくる空間ではない。 それに対してウラは、 積極的に緑化を図っていって、 ここが一つのクールスポットになっていく。 そしてオク(屋上)についても積極的に緑化していくことで、 建物に対する日陰を形成し、 建物自体の熱をコントロールしていきます。 つまり基本的には、 植物による被覆により、 熱負荷を少なくしていこうというのがオクの役割です。 建物を覆う緑は全て「ダブルスキン」を構成しています。 これによって、 屋上から夜間の冷気が下降してきて、 冷気だまりになり、 室内と行き来するというようなことを考えております。

 オモテについても、 上の冷気が夜間下がってくることを想定しています。

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街区環境システム―水
 次は水の問題です。 基本的には降水(雨)をベースに、 まず屋上緑化の土壌による保水を考えています。 それを何カ所かで一次的に貯め、 二次的に貯め、 三次的に貯めて、 さらにそれを循環させていくシステムを考えています。

 そういうシステムから溢れた水は、 最終的にウラから地下に浸透させていって、 地下水の涵養をしている。 道路側についても、 同じように、 地域の水路、 例えば先ほど堀川の話がありましたが、 ああいうところに放流していくという流れになります。

 ですから水をなるべくオンサイトで活用していく。 活用しきった残りは地下に浸透させていく、 あるいはその地域の水路に放流していくというようなシステムを考えています。 そういった水がここで蒸発散することによって、 クールスポットを形成し、 それが部屋の中に冷気をもたらしていく、 あるいは貯留槽と循環させて部屋を冷やしていくといった、 建物の水冷システムも考えていけるのではないかと思っています。

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街区環境システム―太陽
 次は日の光をどう活用するかということです。 植物による断熱がメインになってくるわけですが、 そのほかに温水器を使うとか、 太陽電池をつけるとか、 あるいは同じ植物を育てるにしても、 温室などをつくって積極的に利用していくことが考えられます。

 あるいはサンルームのようなものをつくっていくというふうに、 生活に太陽を積極的に使っていくことを考えていこうということです。

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