都市計画法により策定が義務づけられた都市計画のマスタープランづくりにおいて、 水と緑の都市づくりは、 先進諸国ではどのように取り組まれているのかについて現地を視てみようというのが今回の私テーマであった。
街並みだけではなく、 都市が水と緑の中に浮かんでいるような都市の作り方についても日本が学ぶべき点を多く持っている。
ヨーロッパの都市ではどこでも都市計画に関する出版物や図面、 地図が整然と 市民に提供されており、 計画情報開示がスマートである。
森に対し、 水辺も住民に好まれる居住環境なのである。 イギリスのドックランド、 またドイツなどにもそのような地区がある。
大阪、 堺、 尼崎等の臨海の土地利用転換は、 どういった方向に行くのだろう。 海浜での居住地の創出に我々は自信を持たねばならないと思う。 そのために、 需要の創出、 周辺の土地利用、 居住環境の綿密な計画、 さらにライフスタイルについても、 成り行きにまかせたものでない綿密な調査と検討に裏打ちされた土地利用転換を計画していかなければならない。
自然、 歴史、 社会的要因による地区の性格を捉えて計画の材料にしていることがわかる。 また、 地区がその分析に耐えるような性格を持っていることも日本とは違う。 一つ一つの地区、 街区が一定の景観、 土地利用の性格を持っており、 性格が明らかだからそれを壊すような利用や外観を排除できるのではないだろうか。
日本の街は、 どこに何ができても是とされる。 沿道30mの用途地域の巾取りなどは、 街区の性格の明らかな都市ではありえないと思う。
エリアのヒエラルキー
(2)歩行者・自転車・サービス交通の交通種別を明確にしている。
(3)敷地内に植物を植える部分を明記している。
(4)建物の階数、 床面積、 住宅戸数を決めている。
(5)駐車場の配置と台数が決められている。
(6)幼稚園や店舗といったサービス床の面積が決められている。
はたしてこのインパクトを新たな都市計画への挑戦の糧とすることができるのであろうか。
・それらの遊び場は、 土地の起伏状況、 プランテーション関係、 及び施設物など、 その用地の状況に合わせてつくられなければならない。
・住居の前には、 駐車場への交通から防御された別個歩道が遊び場までつけられるべきである。
・ビジネス空間のためには、 床面積50m2につき駐車場1個必要である。
・駐車場はコルテリ区域にリザーブされる。
・駐車場はこの計画図に指定されていないかぎり、 そのコルテリ区域内にはつくられない。
・1階の住居の窓から15m以内の駐車場については、 その駐車場はその部分にフェンス(又は生け垣)がつけられなければならない。
・駐車場の最も高い平面については、 高さのレベルは1階の住居の高さのレベルより、 最低1.5m低くなければならず、 窓からの距離は最低10mにしなければならない。
・駐車場区域は植え込み(プランテーション)がされなければならない。
・駐車場の配置及びプランテーションに関する決定は、 建物の状況との調和の下になされなければならない。
・これらの距離、 フェンス、 高さのレベル及びプランテーション等に関する規則は、 テラスハウス及びその連結家屋のためのコルテリ区域で自己の住居に属する駐車場があって、 それらの問題がなくなる場合には考慮しなくてもよい。
・コルテリ区域においては、 ビジネススペースのために必要な駐車場数のうち、 同一コルテリ区域の住居のために要求される駐車場数の20%相当の駐車場数が減じられる。
・自動車のためのサービスステーションの配置が許されるコルテリ区域では、 1サービス場につき5台の駐車場及び従業員2人ごとに1台のリザーブが用意されなければならない。
・以上以外のスペースの駐車場については、 建築法、 7か条の精神が尊守されなければならない。
・但し、 この規則は建物状況によっては、 駐車場の設置に関して次のような猶予の措置をとることができる。 すなわち、 建物と調和させた正式の駐車場が、 最低限60%作られ、 残りは自動車保有台数の増加による必要に応じて設置する、 というものである。
・建築線の出入り口からその建物のために作られた専用の駐車場までの歩行距離は最大200mである。
・それらは床面積の20%を超えてはならない。
・内窓と外窓枠間の距離は最低20cmで、 それにより騒音の遮蔽を行う。
・住居が建物の全体を占めている場合、 又は新鮮な空気が防音の通風路を通して取り入れられる場合には、 機械による空気調整のために空気調整装置が設置される。
・但し、 この規則は、 上に例を挙げたような条件下では、 窓の構造及び新鮮な空気のために必要な通風管に関する前述の規則の遂行を、 最高5年間、 さらにその後引き続き3年間猶予することができる。
・但し、 そのような猶予は上記の規則中に言及した街路における年間平均交通量が、 1日(24時間)当たり7000人*車 単位を超えた場合には認められない。
・その場合、 低い方の建物の階数は、 高いほうの建物に面している前面(ファサード)から計算される。 この場合の最低距離は16m。
・2個の建物が互いに向き合っているが、 居住空間の下にビジネス用等の階があり、 その階に住宅がない場合は建物の同じレベルにあるそれらの前述の階は距離の規則の適用を受けない。
・但し、 前述の規則にかかわらず、 最長15mまで前後に並行して重なる2つの建物は次の条件にある場合、 互いに20mの距離を置いて建てられる。
・すなわち、 一方の建物の側にドレッシング・バスルーム用又はその他の補助的空間のための窓以外のものが配置されていない場合、 又は上記の側の窓の下端が部屋の床レベルより最低180cmの高さを持つ場合。 《プライバシーへの配慮》
「水と緑の都市づくり」
兵庫県 難波 健
水と緑を考える
日本の都市で、 水と緑のことが取りざたされるようになって久しい。 しかし、 それは河川改修に際してのうたい文句であったり、 砂防工事や斜面緑化、 屋上緑化といった“都市に緑を”“うるおいのある水辺環境の創出”といったフィジカルなものづくり、 施設づくりの工夫といった範疇をなかなか出ることがない。
ストックホルム市庁舎からの街並み
緑に包まれた建物
北欧における水と緑
スカンジナビア半島は、 バルト海側と外洋に面するフィヨルドの間に多くの湖と森がある。 私は、 1973年にレニングラードからヘルシンキ、 ストックホルムを旅している。 30年前にはじめて訪れたヨーロッパの落ち着いた街並みに圧倒されたことを記憶している。
都市計画情報
ストックホルムで土地利用計画図を求めて市役所に出かけた。 ノーベル賞の授与式典で有名なストックホルム市庁舎から徒歩で10分ほど離れた建物をいくつか尋ね歩いて都市計画セクションを探し出した。 ロビーには縦覧図書や模型が展示されていて、 その一角に都市計画関係の地図や図書を展示販売しているカウンターがあった。
市民の意識
北欧のデザインの良さについては、 よく話題となる。 ヘルシンキで見学した1920年代の木造住宅地区は、 その保全の仕方に驚いた。 公営住宅といいながら、 森の中の住宅であり、 一戸ずつの建設に注意が払われていて、 住まう人々も緑に対する高い意識を持っていることがわかる。 建設当時のデザインをかたくななまでに守っている。
プーカピラ住宅地
ヴオサリ海浜の住宅
また、 海辺は良好な住宅地に対する環境形成要素と捉えられている。 臨海工業地帯であったり、 土取り場であった海岸部が住宅地に土地利用転換している地区をいくつか視た。
土地利用計画
ストックホルム市役所で入手したOversiktsplan1999 Stockholmは、 残念ながら(当然のことであるが)全くスウェーデン語だけでかかれている。 この冊子を見て感じることは、 都市計画が着実な現状の把握と分析のもとに行われていることである。
キベンラハティの地区計画
今回の旅行に先立ち、 丸茂先生の指導でヘルシンキ郊外、 エスポー市の新規開発地キベンラハティの都市計画(地区計画レベル)の都市計画記号凡例の翻訳のワープロ原稿作成をお手伝いした。 この特徴として以下の点をあげることができる。
(1)土地の区域のヒエラルキーが明確である。
詳細設計に基づいて都市計画が定められているように思われるが、 実際はこの計画自体、 時間を経て変化し、 より厳しくなっているようである。 日本の都市計画との緻密さの違いを感じる。
OSA(地区)>アルエ(ALUE)(区域)>コルテリ(KORTTELI)(街区)>トンティ(TONTI)(区画)。
街区のパターン(ストックホルム土地利用計画図から)
ランドスケープについて
反省と挑戦
日本の都市計画は、 もうすこししっかりしないとダメだ。 歴史的市街地=ガムラスタン、 緑のテーマパーク=スカンセン、 湖とサウナ=ヘルシンキ、 世界遺産=タリンと、 楽しい海外旅行であったが、 なんだか打ちのめされて帰国したのであった。
キベンラハティの土地利用計画図凡例から
遊び場
・住居(レジデンス)ごとに子供のために設備つきの遊び場が、 最低5m2つくられなければならない。
駐車場
・駐車場は1住居に1個の割合でリザーブされるべきである。 但し、 最低限、 床面積85m2に駐車場1個の割合で必要である。
サービス施設
・この計画書に示された床面積及び階数のほかに、 居住用建物に必要な趣味、 サウナ、 ランドリー、 管理等々のためのスペースは、 本来なら床面積に算入されるべきところであるが、 本計画では、 それらは階段空間及びペントハウス、 さらに個別の建物または建物のウイングを調和させて利用する。
避難所
・コルテリ区域内の避難所も、 中庭平面の地下、 及びこの計画書に示された駐車場区域、 街路区域又は公園区域の下の地下空間に、 この街の同意のもとに配置される。
エレベーター
・エレベーターのための空間及び階段部分の採光開口部のための空間は、 この計画書に示された床面積に入っていない。
住居の騒音遮蔽
・コルテリ区域の通りに面した住居で街路区域の端から30m以内に建てられているものについては、 エアコンディショニングの装置が設置され、 同時に部屋の窓用の敷地面積が床面積の15%増にされ、 それにより窓は気密性を持つ2重窓にされる。
住棟間距離
・居住用建物のためのコルテリ区域では、 建物と建物の間に許される最小の距離は次のとおり。
建物の階数 距離
1 8m
2 16m
3・4 25m
5 30m
6 35m
7 40m
8 45m
9 50m
10 60m
・但し、 2個の建物が向かい合っていて、 低い方の建物が高いほうの建物の南東、 南又は南西にある場合には、 低い方の建物の距離の規則が適用される。
前に 目次へ 次へ
・前述の規則にかかわらす、 上述の2個の建物は次の場合はもっと接近させることができる。 すなわち、 両方の建物の側にドレッシング・バスルーム用又はその他の補助的空間用の窓以外のものが配置されていない場合、 又は上記の側の窓の下端が部屋の床レベルより最低180cmの高さにある場合。
このページへのご意見はJUDIへ
(C) by 都市環境デザイン会議関西ブロック JUDI Kansai
学芸出版社ホームページへ