フィンランドセミナー
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フィンランドの印象

関西大学 丸茂弘幸

 

1. この静けさは何だ

 「静けさ(serenity)こそは苦悩や恐怖に対する真に偉大な解毒剤だ」というルイス・バラガンの言葉をぼくは信じる。 フィンランドにいるといつのまにか元気が出てくるのはその静けさのゆえだ。

 Serenity, silence, quietness, calmness,…静穏、 静寂、 静謐、 閑静、 …静けさにもいろいろある。 ヘルシンキのこの透き通った静けさは一体どこから来るのだろう。 日本的なわび・さびの静寂とは明らかに異なる、 瑞々しく透明で悲しみさえ含んでいる静けさだ。

 

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夕暮れのヘルシンキ湾 ミュールメキ教会の内部
 

2。 知識欲か、 食欲か、 それとも…

 
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もちろん勉強が第一…ピック・フォパラハティ でも食事もおろそかにはできないし…ヘルトニエミ近くのマナー・ハウスで昼食 ヴィトレスクのサウナはどうしていいか分らないし…胸のうち? いや何も
 

3。 活力の秘密はタウンとガウンの関係

 ヘルシンキはただ静かであるだけでなく若さと活力に満ちていました。 その秘密の一端は都市(タウン)と大学(ガウン)の密接な関係にあるのではと思います。

 ヘルシンキ大学は市の最も象徴的な中心広場である元老院広場に面して堂々と本館を構えています。 図1は都心キャンパスの整備計画ですが大学ブロック内部に一般のペデを挿入して都市と大学をインテグレートしようとしています。

 都心型大学の常として用地不足に悩まされた挙句、 図2に見るような大学施設の分散化が進行しました。 これを図3のようにまとめようというのが現在の大学とヘルシンキ市の計画です。 図中の数字1が都心キャンパスで人文社会科学系と芸術系学部が置かれます。 2は理学部のあるクンプラ・キャンパス(図5)、 3はわれわれも行った農学系のヴィーッキ・キャンパス、 4は薬学系のメイラハティとピック・フオパラハティにあるキャンパスです。

 図4はヘルシンキ都市圏の国際競争力強化のための知識・情報戦略を示した図です。 三角形は、 オタニエミにあるヘルシンキ工科大学と都心キャンパスとヴィーッキ・キャンパスを結んだものです。 図6のアラビアンランタにも芸術系大学が置かれます。

 日本でも大学院等のサテライトを置くなどして都心に大学が回帰する傾向が顕著ですね。 この都市と大学の新たな関係の構築という試みは、 いま世界各地で起こっている現象ではないかと思います。

 

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図1 図2 図3
 
 
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図4 図5 図6
 
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