大阪市景観形成基本計画 |
四つの地区で景観整備ゾーンを形成しているのですが、 詳細な基本計画を持っているのは道頓堀だけで、 あとの地区はこれから決めていく予定になっています。
昔、 大阪には渡船場が29もありました。 安治川も含め今残っているのは八つだけです。 大阪の都心と臨海部をもっとつなぐため、 水上バスを強化できないかと考えられています。
先ほどのスライドでレンガ倉庫を見ていただきましたが、 そういう資源を利用して、 例えば芸術家村のようにしてアーチストに安く使ってもらうことを考えています。 それから、 まだ開発に時間がかかるので、 スーパー堤防のところに何か暫定的に利用できるアトラクション、 劇場なども出来ればいいと思っています。
いろんな遊休地が余っていますので、 当面はNPO、 企業に活用してもらって、 将来的にはそれがベンチャー企業に発展するところまで行けたらと思っています。 また都心とタイアップして水陸両用バスの運行がされる場所になっていければいいのですが。
海外にはすでにこういう事例がたくさんありますし、 ここも商業的に成り立つ可能性は秘めていると思います。 ですから、 NPOも参加しての官民のビジネスエリアとしての仕掛けをすることは十分可能だと考えています。
芸術家村構想はまだ動き始めたばかりですので、 これからいろんな仕組みを考え、 ソフト面を強化していくことになるでしょう。
USJのやり方を紹介しますと、 スタッフがゲストを満足させるいいサービスができたら「Uドル」という施設限定通貨をスタッフ同士で与えるというシステムになっています。 Uドルがたまると、 USJはそのスタッフを表彰いたします。 このように、 ちゃんとやった人を評価するシステムをまちづくり活動で持てればいいと思います。
また、 USJには中高生向けに、 パークをより楽しめるよう学習形式にした紹介プログラムがあります。 この若い人向けの、 分かりやすい街の学習プログラムは、 まちづくり活動にも必要だと思います。 自分のまちの文化や都市資源を考えるきっかけになります。
アメリカでは、 心身障害者治療の一環としてテーマパークを利用する手法が確立しているそうです。 日本でもそんな可能性は開けていると思います。
公共と民間のパートナーシップによる水辺活性化
御堂筋界隈でされているNPO的な活動をここでも展開できないかと思っています。
USJのエンターテイメント、 シビック・プライドから
最後に、 USJからはどういうことが読み取れるかを紹介していきます。(1)対話型(インターラクティブ)の手法をまちづくりに生かす
USJの「ウォーターワールド」はゲストと掛け合いをしながら進行していく人気アトラクションですが、 大阪にも元々こうした対話型の手法が町中のいたる所にありました。 最近元気のない大阪の活力を引き上げるためにも対話型手法をまちづくり活動の中に内在化させ、 NPOを始めサービス、 流通、 介護など様々な分野に波及させることができないでしょうか。 それができれば、 大阪はさらにもてなしのできる都市として成長していくことが期待できます。(2)シビック・プライド(街に対するプライド)
パークの建物は歴史を再現したものですが、 歴史や価値あるものを再評価している姿勢の現れです。 パークに来ていただければ、 アメリカは若い国だけど自国の歴史を大事にしていることが分かると思います。 だからこそ、 環境演出にも力を入れるのですが、 我々も街に対するプライドを取り戻すことについては、 アメリカ人に学ぶ必要があるのではないかと考えます。 大阪の町中には今でも都市資源はいっぱい残っておりますし、 まずはそれを大事にする学習から始めることが重要です。(3)障害者にやさしいまちづくり
このパークは障害者にとてもやさしい作りになっているのが大きな特徴です。 それは来訪されたゲストのいろんな手紙がUSJに送られてくることからも分かります。 「生まれて初めて自由に体を動かして遊んだ」「障害のために残り少ない命だけど、 楽しく遊べた」などのメッセージが数多くスタッフに届けられています。 障害者が楽しく過ごせる空間を作ることは、 テーマパークもまちづくりも一緒だと思います。(4)最後に―USJを活用した大阪のまちづくり
USJはその周辺にリゾート施設集積を牽引する計画イメージを持っています。 将来的にはウォーターフロント沿いをテーマパークと一体化して、 都心と安治川沿いの間が活発に利用されていき、 水際が連結する街になることを希望しています。 他都市に比べ大阪は豊かな水資源を持っている都市ですので、 そのような街になれるだろうと思っています。 USJもまちづくりに寄与しながら、 事業を進める一方で、 大阪市は、 USJの集客面だけでなく様々のエンターテイメントのノウハウやソフト面をまちづくりに活かすことが重要と考えます。
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