堀口(アルパック):
高層ビルに関連する質問ですが、 中心部の歴史地区で容積率を押さえていることについて、 資本家やディベロッパーから「もっと大きい建物を建てたい」とか「新しい施設が欲しい」という声は出てこないのでしょうか。 そうした要求があれば、 どうやって都市計画を納得させているのでしょうか。
サラスティエ:
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一つ一つは小さい建物の連続
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大規模な建物が建てられない理由としては、 まず建物の所有単位が小さいので無理だということがあげられます。 もちろん、 都市計画が厳しいことも大規模開発ができない理由で、 そこがエスポーと違う点です。
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ヘルシンキ中心部
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ただ、 ヘルシンキはむやみに企業活動を妨げているのではなく、 港湾地区でそうしたビルが建つ可能性はあります。 しかし、 ここの詳細計画を作るのは都市計画局の担当ですから、 開発者はその計画に従わざるを得ません。 エスポーと違って、 ヘルシンキは市の所有する土地が多く(ヘルシンキ市の60%)、 中心部に近い港湾地区も市の所有地です。 ですから、 開発者は市と開発について契約を結ぶことになり、 市が開発計画をコントロールできるのです。
堀口:
そうした公共の土地はもともと市の所有地だったんですか。 (リッタ:そうです)。 第2次大戦の後、 市が買い取った土地ですか。
サラスティエ:
いえ、 その前から市の土地です。 ヘルシンキ市はもともとスウェーデン王の命令で作られた町です。 その時、 王が市に土地を与えたという歴史があり、 それがヘルシンキに公共の土地が多い理由だと思います。
堀口:
政治的圧力が都市計画にかかることはないのですか。
サラスティエ:
もちろんそれはありますが、 ヘルシンキは文化的な都市で景観保全に関する市民の関心が高く、 政治的圧力を通すにはやりにくいところです。 ただ、 20数年前はそうでもなく、 都市計画委員会の中に民間会社の人がいて、 彼らの意志に左右されることもありました。 それを阻止するために、 まちづくりに住民が参加することが重要でした。
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