泉:
今回の社会実験の効果と社会的影響についてまとめました。
主に3つの効果があったと考えられます。
1つ目は、 新しい水辺空間の魅力を発信し、 多くの水辺ファンをつくったということです。
この実験をする前は、 大阪の水辺でカフェをしても臭いだけではないのかというマイナスの意見がほとんどでした。 しかし、 実際やってみると3000人を超える人々が来店され、 アンケートでも肯定的な意見がたくさん見られました。 最後の1週間の夕方からは連日満員で、 1時間待っていただく日もあったくらいで、 大阪の水辺の良さを伝えることができ、 水辺ファンをつくることができたのではないかと思います。
2つ目は、 頑張れば市民が自分たちで魅力的な都市空間を創れるということを示せたことです。
始める前までは、 河川エリア内の営業行為は制限されていました。 また、 川に船を浮かべるためには、 どのような法律や規制をクリアしなければならないか、 また台船をどこで借りればよいかも分からず、 もちろんカフェを運営したこともないという状況でした。 しかし、 4月に考案し10月に実施するまでの約半年間、 各自が仕事を抱えていても、 このようにやればできるのだということを実際に証明できたと思います。
3つ目は水辺利用に関する仕組みや費用、 市民と行政の協力方法などの具体的先例をつくったことです。
台船の貸主の話では、 今までこのようなイベントに台船を貸す場合の相場がなかったそうです。 また、 今回はビットを護岸に設置しましたが、 そのようなことも今まではされていませんでした。 ビットには規格があり、 その規格を守って作れば確かに安全なものができます。 しかし、 非常に高価であるため、 今回のような2週間程度の短期イベントには向きません。 今回の実績により、 このくらいのものなら耐えられるというような規格が示されたのではないかと思います。 また、 行政との役割分担の方法や河川空間の使用許可のためのルールの提示など、 今後の水辺ビジネスに風穴をあける役割を果たすことができたのではないかと思います。
以上の3点から、 当初掲げていた2つの目的はある程度達成されたのではないかと考えています。
社会実験の効果
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