今井(大阪21世紀協会):
河川占用と公園占用許可の交渉をしに行くとき、 法的根拠が少し違うと思うんですよ。 かつ対応する側、 府の人とか公園管理事務所の人もそれぞれ対応が違うと思います。 公園の占用をお願いに行ったとき、 店舗やトイレの設置の許可をどんな風に交渉したかをうかがいたいのですが。
泉:
河川も公園も基本的には同じような内容でお願いに行きました。 つまり、 店舗やトイレを設置してもそれ以外の場所は人の通行の妨げにならないようにし、 それで納得して貰いました。 また、 このリバーカフェは公共性のあることだからと訴えて納得いただきました。
今井:
公共性を訴える条件として「非営利事業の社会実験である」とうたわれていますね。 実際には収支トントンだったそうですが、 収益について何か言われることはありませんでしたか。
泉:
本来はそこもチェックされるかなと思っていましたが、 結果的には何も言われませんでした。
森山:
もともとは200万円ぐらいの赤字を覚悟してのスタートでしたが、 収支トントンの結果になったのは我々としては嬉しい誤算でした。
泉:
どこも「赤字なのに大変ね」というスタンスでしたよ。 結果的にはお客さんが沢山来てくれてトントンで終われたわけですが、 営利事業にはなっていませんのでそこは問題なかったと思っています。
森山:
最近は行政でも「水都再生」をしきりにうたっており、 その流れの中で民間団体がこういうことをやることについては協力的でした。
スタート時点では、 我々はどこの馬の骨の集まりかと思われたようで「本当にできるのか」と心配され、 山崎さんのような地元で実績を積んでいる人や地元の有力者をご紹介いただきました。 我々としてもそういう方々を協力しながら事を進めていき、 途中でいろいろと行政の方に報告していったのですが、 今回のプロジェクトでは行政の人たちにもいろいろと支援していただきました。
今井:
別の観点からの質問をもうひとつ。 河川の通行は基本的に自由ですが、 公園の場合は短期間の占有でもそれまでの通行の自由を妨げてしまうことについて、 とてもうるさいはずですが、 その点はどうでしたか。
森山:
たまたまリバーカフェを設置した場所は、 公園の通路の行き止まりの場所だったんです。 通行される人は行き手を遮られずに通ることができます。 自転車で通る人にも散歩中の人にも迷惑をかけることのない場所だったんで、 大目に見て貰ったんじゃないかと思っています。
今井:
それから、 カフェの一角に浮き桟橋を作られていますよね。 これは普通、 船の昇降用を目的として作られるものですが、 ここでの船の昇降はダメだと言われると思うんです。 それについてはどう説明されたのですか。
泉:
交渉するときでも、 河川管理者の大阪府と港湾管理者の大阪海上保安監部の見解が違ったんです。 大阪府は船でのアクセスOKだったのですが、 海上保安監部がアクセスNOだったんですね。 ですから、 もうひとつの浮き桟橋の公式理由として、 10月5日のリバーツーリング用なのだと説明し設置許可をとりました。
今井:
細かい点をうかがいますが、 ビットの設置費用が異常に安いように思いました。 何か理由はあるのですか。
森山:
普通に設置したら、 1個30万円としてビットだけで計120万円かかります。 船を借りるのも普通なら1日何万円という使用料になるそうです。 今回は船の曳航費用も含め、 船の使用料は50万円にしてもらいました。 いろんな経費をまともに払っていたら予算はすぐになくなってしまうので、 できるだけ削ろうと思い、 30万円のビットをなんとか抑える方法を考えたんです。 構造的に大丈夫だという計算をして、 ビットに関しては大目に見て貰うという工夫をしました。
泉:
通常、 ビットは船のトン数から計算して上下からかかる力、 引っ張りにも耐える力を考えて頑丈に作られるものですから1個30万円という金額になるんです。
今回は緊急の場合は大潮と台風のときですが、 それは事前に分かるものですから、 そういう場合は船会社の船置き場に移動させますという約束を事前にしていました。 そうした緊急時の対応とセットで考えていたので、 30万円のビットが数万円になったという事情があります。
森山:
実は係留方法についても、 大阪府と海上保安監部の見解が違っていたんです。 当初、 我々はビットではなく船をアンカーで係留する方法を考えていました。 大阪府はアンカーをベースにして横のブレを何らかの方法で止めてくれればいいという話でしたが、 海上保安庁の方はアンカーではなくビットで止めなければいけないという話で、 ビットを探さざるを得なくなったんです。
今井:
食材についてうかがいます。 大阪府の条例では露天で出す食べ物はいろいろと厳しいはずですが、 その点で何か苦労はありましたか。
森山:
出したかったのに出せなかったものとしては、 生野菜ですね。 包丁を使う作業が一切できませんでした。 食器もガラスとか陶器を使いたかったのですが、 それでは保健所の許可が下りなかったんです。 使い捨ての食器でないとダメだということで、 紙コップ、 紙皿での提供になりました。 メニューに関しても随分制限することになり、 加熱したものを出すというメニュー中心になりました。
行政の側の対応はどうだったか
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