道頓堀遊歩道計画のコラボレーション
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3 デザインディテールの検討

長谷川弘直(都市環境研究所)

 

 ランドスケープをやっております長谷川と申します。 先ほど堤さんが護岸について説明されましたので、 主としてどのようなデザインディテールを我々が提案していったかをお話したいと思います。

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イメージCG
 今お話があったように、 プロムナードを上下二段構成にしまして、 上のプロムナードには石を使いました。 これは道頓堀や宗右衛門町の陸地の延長として、 また掘割の上は陸地であるとの位置づけで石を使おうと考えました。

 まあ石のイメージについても、 大阪ミナミには近くに法善寺横町とか水掛不動などがあり、 御影の石畳というものが皆さんに愛されていましたので、 ここでもやはり陸の延長、 堀割の延長ということで御影石を使おうと考えました。

 それで、 下のプロムナードにつきましては堤さんの話にもありましたように、 どちらかと言えば浮き桟橋のような川の上に仮橋のような形で軽く作ろうということで、 ボードウォークをつくることにしました。


ボードウォーク

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イメージCG
 ボードウォークになる下段と上段の遊歩道とは高低差が約90cmありましす。

 ここはいわゆる道頓堀の川と陸地を繋ぐ堀割でもあることから、 もちろん過去の歴史的な要素であると言われればそうなんですが、 御影石を使った堀割型の護岸としてデザインしました。 そして下段は軽い桟橋で行こうということでした。

 それで我々がデザインするときには、 例えばこのボードウォークの素材として安全性や機能性について、 滑らない、 燃えないなど様々な検討をします。

 実際の事例の中からイぺやボンゴシ、 スギ、 檜など様々な材料を選び出し、 それぞれについて摩擦がどうだとか、 煙草の火に耐えられるかどうか、 あるいは風に強いかといった事を調べています。 これはもちろん我々が出来るものと、 専門家にお願いすべきものとあり、 そういった専門家の方々の分析結果を我々が参考とさせて頂いて提案しております。

 また、 関西方面の事例調査をして、 どんな所でボードウォークや浮き桟橋を使っているかも調べました。

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木デッキ参考詳細図(ボードウォーク)
 そういった検討結果を踏まえた上で、 今回計画しているボードウォークのデザインディテールとしては、 例えば床板はイペ材を使って根太はボンゴシを使った方が強いもの同士の折り合いがつきます、 といった提案をしました。

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デザインディテールの検討
 さらにJUDIとしては、 例えば水とボードウォークとの鼻かくし部分、 あるいはボードウォークと石の部分のディテールをどうするか、 さらに手摺りをどこにどういう形で付けるか、 といった様々な部分の収まりがどういった形になれば一番うまくいくかということを検討しました。

 また上下の遊歩道の間の立ち上がり部分については、 上下をなるべく機能的にも視覚的にも仕切らないものにしたいということで、 段差部分の石貼り、 下段のボードウォーク、 柵、 緑を使った仕切りなどについて、 安全性、 機能性など考慮したデザインをJUDIで検討し提案していきました。


石貼り

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湊町リバープレイスのボードウォークと石貼り
 その際の参考事例として、 一昨年西道頓堀に出来た湊町リバープレイスがあります。 ここのボードウォークの段差は約150mあり、 それに並行して作られている水辺のテラスは水上交通がここを船着き場として利用しています。

 そこで戎橋〜太左衛門橋間も同じ道頓堀ですから、 陸上のボードウォークと川上のボードウォーク、 それらを繋ぐ御影石の護岸といった一連のデザインディテールを今回の提案の参考として、 また西道頓堀のボードウォークの延長という意味でも連続性を持たせてはどうかと考えました。


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イメージCG数点・柵のデザイン方針と検討案
 柵のデザインも非常に大きな要素で、 様々な議論が出ました。 これについてはJUDIの中でも工業的なデザインをされている方たちが中心となって、 土木的な事では最低1.1mの高さと水平荷重約360kgで押しても倒れない強度などの技術的な面はもちろん、 いろんなタイプの柵について安全性、 機能性、 美しさといった視点から検討を進め、 沢山のデザインを提案していきました。

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イメージCG3点・最終案
 最終的な我々の提案は、 丸い再生木材を手すり部分に使い、 出来るだけボードウォークと同じ優しい素材での一体性を作ろうということになりました。

 ただ、 これについても様々な議論がありまして、 提案は一応いくつか出しています。 どれに決まったのか我々も把握してませんが、 我々がトータルなデザインについて提案出来るとしたら、 できれば優しくてシンプルであまりゴテゴテ装飾しないようなデザインが好ましいと考えています。


植栽

 
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植栽計画
 
 それで植栽はどうしようということで、 例えば、 橋の上からのビューポイントとして緑があった方がいいかどうかといったこともJUDIで侃々諤々の議論をしました。

 その結果として提案したのが、 並木道みたいなものではなく、 あるいは「川だから柳」みたいな発想でもなく、 例えばエゴノキやナツツバキ、 サルスベリ、 ヤマボウシといったように樹形があまり大きくならず、 かつ季節感も感じさせながら優しい水辺の修景デザインが出来るような樹木樹種を、 橋からの視線の先にある遊歩道中央部にまとめて植栽するという計画でした。

 以上です。

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