海外建築家の日本での仕事
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6。 その他の国内プロジェクト

 

森ビル愛宕グリーンヒルズ

 
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森ビル愛宕グリーンヒルズ
 
 ちょうど3年前ぐらいに完成したプロジェクトです。 東京の愛宕で行われた大きな開発です。

 東京のど真ん中にある緑豊かなこの場所には青松寺と愛宕神社があります。 そのまわりに小さいビルがいっぱい建っていたのを森ビルが集約してオフィスビルと高級賃貸アパートを建設しました。 これは曹洞宗青松寺の境内の容積も使って建てるプロジェクトでした。

 ペリがこのお寺で建設予定の敷地を見たときは「東京にもまだこんな豊かな緑が残ってたんだ。 これは何も手を付けない方がいいんじゃない?」と言っていたのですが、 ペリ・ジャパン事務所としてはこのプロジェクトがとれないと食えないものですから…(笑)「ペリがやらなくても、 別の誰かがビルを建てることになりますよ」と説得してプロジェクトを進めたという経緯があります。

 完成したビルは、 見ての通り上へ行くほどすぼんだ形になっています。 クライアントである森ビルからは、 「上に行くほど高い賃料がとれるのに、 なぜ削るんだ」と散々言われましたが、 ペリは「やはりお寺の境内に建てるのだし、 新しい東京のスカイラインを造るには上をセットバックさせて圧迫感をなくすことが大事要です」と主張し、 なお、 この形はお寺を意識して「ハスの花のつぼみをイメージしています」とも説明し、 クライアントの了解を得ました。

 青松寺を真ん中にはさんで、 右に見える四角い形のビルがオフィスビル、 丸い形が住宅です。 住居の方が少し丸みを帯びたやさしい女性的なシルエット、 オフィスは四角い男性的な形で、 両方のタワーにより山門をイメージしています。 男性ビル、 女性ビルを建てたようになりました。 東京という大都市の環境とどう対話していったかというひとつの例です。


阿南地方合同庁舎計画

 
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全体CGパース
 
 これは環境をダイレクトに考えたプロジェクトです。 残念ながら実現はしなかったのですが、 当時の建設省の第1号グリーン庁舎になる予定でした。 約6000m2の床面まで、 ペリ自身非常に興味を示しており、 とても力の入ったプロジェクトでした。 実現しなかったのはとても残念でした。

 

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グリーン庁舎環境手法の断面ダイアグラム
 
 図はこの計画の環境手法を断面ダイヤグラムで示したものです。 方位によって外装デザインを変えています。 西面はポツ窓にして熱負荷を減らす、 東・北面はガラスを多く取る、 道路面に対しては合同庁舎としてのシンボル性を見せるなど、 方位と機能に適した形になっています。 環境手法も今では当たり前になった手法ですが、 当時としては新しい手法を数多く盛り込んでいて、 ライトシェルフ(庇)、 ドラフト効果を使ったエアシャフトなどを取り入れました。

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