地方都市の都市デザインを考えていくにあたって、 まず以下の二点を捉えておく必要があると思います。
例えば、 日本ナショナルトラストの発祥の地と言われる天神崎があります。 山が半島までせり出してきていますが、 日本の海岸に良く見られるような断崖絶壁ではなく、 なだらかな丘陵となっています。 そのため、 干潮になると凸凹のある岩礁部分が遠くまで水面に顔を出します。 この岩礁部分は「泥岩岩脈」と呼ばれる非常に特徴的な地形です。 紀伊半島西部にはこのような地形がいくつか見られます。
例えば、 鳥ノ巣半島の泥岩岩脈は国の天然記念物に指定されています。 鳥ノ巣半島の泥岩岩脈は、 干潮の時には1.5km先まで岩脈が顔を出して陸とつながっています。 天神崎の泥岩岩脈は1.5kmよりは短いのですが、 天神崎の場合は海藻が岩脈を覆っており、 非常にきれいな景色が見られます。
一方、 内陸部の地形は、 大都市のように大きな空間的まとまりを開発して市街地になっているのではなく、 小さな起伏がまちの中にたくさんあることも一つの特徴です。
このような中では、 日本のように都市計画を全国一律の仕組みで行なうのはあまり効果がないと思われます。 いくつかの都市計画を考えていくべきだと考えています。
都市計画・都市デザインからみた地方都市のあり方
地域特性としての地形・空間の広がりの特徴
田辺市には地域特性として、 特徴的な地形や空間的広がりがあります。
大規模な市街地整備、 都市施設整備に至らない
大規模な市街地の整備や施設の整備を行なうまでにはまちが至っていません。 広幅員道路や大規模な公園が必要な状況ではないのです。 したがって、 今の都市計画のメニューの中でできることがほとんどないのが現実です。
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