趣旨
第13回都市環境デザインフォーラム関西は「ユネスコ世界遺産登録・熊野街道で探るー"歴史と向き合う街とは・癒しの風景とは」をテーマに、10月30日、31日の2日間、田辺で行ないます。
テーマごとに密度の高いフィールドワーク、ワークショップを行ない、人々が求める「歴史」「癒し」といかにを都市環境デザインが向き合うかを考えたいと思います。
フォーラムのプレセッションを兼ねる今回のセミナーでは、和歌山大学をはじめ地元の方々に、和歌山の独自の歴史・文化や景観・風景を語っていただき、街や地域風景の魅力や課題について問題提起していただきます。
鳴海邦碩/長谷川弘直
■プログラム
●話題提供1
田辺市の街・環境のデザイン〜理解と支持の基盤
濱田 学昭(和歌山大学:環境システム学科、専門分野:都市計画)
田辺市は端的な言葉で表現が困難な都市である。紀南地域の最大都市・地方都市、海と山に抱かれた非港湾都市、紀南特有の地形デザインの都市、紀南田辺湾の自然を抱える都市、熊野の玄関都市(熊野詣のロジスチック・センター)、源平時代の経済都市、日本最古の国際幹線・海のハイウエイの拠点都市、等々だが、これぞという言葉が共有されていない。
街ならびに環境のデザインのキィーワードは多数ある。しかし、現在の街のデザインは、自然と歴史に向き合って出来ているわけではない。自然と歴史を越えてのデザインである。
ゆえに自然と歴史に向き合った街・環境のデザインへの理解と支持の基盤づくりが肝要である。「前への動き」が必要である。基盤整備と独自の事業による旧市街地中心部の再生と持続への取組みから考えを述べる。 ●話題提供2
世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」〜沿道景観の再発見
神吉紀世子(和歌山大学:環境システム学科、専門分野:農村計画)
吉野・高野・熊野三山と大峰奥駆道・熊野古道の一部・高野山町石道から今般の世界遺産は構成されている。遺産は保存状態のよい部分だけをカバーしており、実際の熊野、高野ははるかに広範囲の文化圏を持っている。沿道には知る人ぞ知る集落・町並みが潜在しており、今後その価値を再構築していくことが肝要である。
これまで散々無関心にさらされてきたこうした沿道エリアにも、この期に及んで様々なセクターが飛びついてきている。某省しかり、某有名団体しかり。それらは沿道の環境を大雑把に、思い込みで捉え、かえって破壊的な計画提案をしてくれたりする。ではどういう目をもってこの沿道を見なければならないのか、神吉ゼミの5年間の経験から考えを述べたい。
田辺市の街・環境のデザイン:理解と支持の基盤和歌山大学環境システム学科 濱田学昭 |
紀伊山地の霊場と参詣道和歌山大学環境システム学科 神吉紀世子 |
質疑応答 |