白地の真ん中あたりに日本海側へ流れる川と瀬戸内側へ流れる川を分けている石生という所があります。 これが大体の兵庫県丹波の地勢です。 今日は白部分の日本海へ流れる竹田川と加古川流域を中心にお話したいと思います。
竹田川下流域で、 福知山に近い竹田郷です。 位置については、 竹田川流域の郷分布でご確認下さい。
2 丹波の風景−竹田郷
丹波地方の切峯面図
切峯面図の白部分は一番低い地域で、 淡い色部分は100〜300mの少し高い所です。 白部分に加古川と竹田川が流れています。 篠山市がある丹波高地は図の右の方です。 濃い色の部分が多い高い場所であり、 典型的な盆地地形ということが解ります。 加古川・竹田川流域は市島盆地や氷上盆地等といわれますが、 私は地形図から流域低地だと捉えています。
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山から続く農地は明治期に開墾されたところで放牧に使われた原っぱがあり、 段丘斜面があって集落へと続きます。 一番低いところが川で、 手前に見える工場の横に竹田川が流れています。 ここのポイントは、 一番左側に位置する鎮守の森(総社)で、 川沿いに鎮守が位置しているのが竹田川流域の土地利用パターンです。 総社は大字(おおあざ)にひとつずつあります。 竹田郷は三つの集落から成り立っているのですが、 それぞれの集落の鎮守は山手の段丘斜面にあります。 竹田郷全体の総社は式内社の大きな神社で、 昔、 祭りの時は各集落の御輿がここに集まって、 そこから各地域を練り歩いていました。
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総社である鎮守の森はだいたい河川が蛇行する流下方向の曲折点に位置し、 堤防が決壊すると地域が氾濫しそうな所の抑えとなる場所に今もあります。
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川沿いは全部農地になっていて、 川−農地−家とつながる土地利用が今もずっと継承されています。
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鎮守は各集落裏手の段丘斜面にあります。
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今バイパス工事で段丘斜面が削られているのですが、 これは私は危険信号だと思います。
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段丘斜面はほとんどがケヤキ林で構成されているのですが、 これは水源涵養に大きく寄与し、 段急斜面は水分条件に恵まれていることを物語っています。
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市島町には丹波の地酒屋さんが4軒あります。 水がとても豊かな地域であることを示しています。
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ケヤキの段丘斜面林も、 こうした高台の宅地化で少しずつ削られるようになりました。
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一般に山裾集落は支流の谷川を中心に集落構成されますが、 水の豊富な竹田郷では、 支流の谷川は字界となり、 支流の谷川沿いはこうした鬱蒼とした竹林で覆われています。
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湧水地や水を汲む場所(川井戸)は集落の至る所にあります。
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福知山へ抜ける旧街道沿いは「脇門」というスタイルがよく見られます。 このスタイルは淡路の西海岸にあるのですが、 丹波篠山ではほとんど見ることがなく、 丹波では竹田川流域だけの特徴です。
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丹波は、 摂丹型の妻入りが主流ですが、 市島町の場合は平入りの町家が主体になっています。 江戸期に街村したと考えられます。
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右岸の街道は江戸時代に「巡礼街道」と呼ばれており、 その名残を示す道標や石碑が今でもあちこちに残っています。 巡礼街道は官道ではなく庶民が造ったので、 石碑もいかにも手作りだと思わせる小さなものです。
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これまで述べたように竹田川流域ではこれらの特徴が一定の秩序を持ちながら多様に重なり合って集落が構成されています。
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