まず、 セットバックしてない部分の開口部(窓面)のパターン、 それと仕上げ素材や色のバリエーションです。 開口部にもいくつかのパターンが見られました。
ファサード
ファサードデザインの類型
次に調べたのは、 建物のボリュームとファサードデザインの関係です。 調査対象としたのは、 船場建築の80%を占めていた5階建てから10階建てまでの建物です。
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水平連続窓型は99棟あり、 一番多かったパターンです。 窓が水平に一続きになっている形で、 水平ラインが強調されています。 この水平連続窓型もさらに4つに分類することができました。 まず、 開口部が建物の両端で止められずデザインが水平方向で切れているタイプがあります。 これは隣の建物も同じタイプなら、 水平線が連続して面白い町並みを作っていけると思います。 実際にはバラバラに建っているので連続性は感じられません。 けっこう数多く見られるタイプです。
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次は、 同じく水平連続窓ですが、 建物の周囲を強調するような形になっています。 これはおそらく町家の名残で、 うだつを強調するように側面を強調したのかなと思いました。 側面を張りだした建物もけっこうあります。
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3つ目は窓面が極端に大きく、 スラブの細い線だけが目立つ〈柱梁強調型〉です。 ファサードのほとんどが開口部という建築です。
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4つ目は水平連続窓型で一番多いタイプの〈長方形開口型〉です。 ラインが縦よりは横に強調されるタイプです。 建物と建物の連続性は感じられないのですが、 ひとつの建物の中の大きな開口部がいくつも重なっている形です。
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このタイプは一部屋に窓がひとつ、 あるいはひとつひとつの窓が完全に分かれている形の建物です。 古い建築に多い手法で、 カーテンウォールが出てくる前はよく見られました。 オフィスビルに多い形です。
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これはファサード一面がガラスや金属パネルで覆われている形の建物です。 最新の高層建築でよく見かけるタイプです。 これも船場には比較的多いデザインです。
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壁面に対して開口部がほとんどない建築です。 大きな倉庫として使われる建物が大半です。 またタワーパーキングもここに分類されるだろうと思います。
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ファサードがバルコニーになっている建築は今回の調査では5棟、 全部マンションでした。 法律的にも集合住宅は2方向の避難経路を確保しなければいけないので、 バルコニー型になりやすいのですが、 調査した時点では船場ではマンションは少数派でした。
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これは今まで述べた5つのファサードデザインから、 2種類あるいは3種類を組み合わせているデザインです。 建物に変化をつけるという点からは面白いのですが、 きれいに組合わさっている印象の建物はあまりありませんでした。
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これは開口部での分類ができないデザインになっている建物です。 船窓のような窓だったり変な形の開口部がいろいろあります。
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1970年代以前は〈独立窓型〉か〈水平連続窓型〉の2種類しかなかったのですが、 90年代に入ってからはいろんなパターンが現れてきて、 ファサードデザインは多様化してきていると言えます。 つまり、 町並みはいろんな建築デザインが出てきて複雑化していることがうかがえます。
例えば石素材は昔の建物にはほとんどと言っていいくらい使われていませんでした。 というのも、 間口が10mぐらいの建築ですので、 お金をかけた立派な建築というのが多くないんです。
ところが、 最近のものになるにつれ、 低層部など建築の一部を石貼りにしたものが出てきます。 90年代以降に建った建築を調べると、 4割近くが石貼りの建築になっています。 多分、 安く石を輸入できるようになったことがその背景にあると思われ、 時代背景も建物の形態に影響しているのだと思いました。
また反対に、 最近の建築では吹きつけやタイルの仕上げが減っているのも特徴です。 古い建物では、 もともと吹きつけだったのか補修で吹きつけにしたのかが分からないのですが、 それを差し引いても70年代は吹きつけやタイルが主流でした。 今の主流は、 金属やガラスです。
社会背景や流通業の変化によって建物の素材も大きく変化していることが分かります。 ですから、 年代による特徴がよく出ていると思います。
ファサードデザインの年代別傾向
ファサードデザインの傾向
ファサードデザインと年代に関連性があるかどうかを調べました。 各年代別に見ても〈水平連続窓〉が多く建てられています。 ただ年々減少の傾向にあり、 その代わりに増加しているのがガラスカーテンウォールのフラット型の建築です。 やはり建築のシステムが変化すると、 ファサードも影響されて変わっていくことが見てとれます。
仕上げ材
仕上げ材の傾向
次にファサードを作っている素材の変化について調べました。 これは明らかに年代による変化が読みとれます。
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