まず敷地は、 4百年前の町割による5〜6間×20間の敷地を継承していて、 その敷地に建物が建っている。 この敷地は船場にしかない大きさなので、 船場固有のスケールを生み出しています。
形態については、 建築の高層化が進むに従って上層部がセットバックする形になっています。 これは建築基準法によってセットバックさせられたと言った方が正確なのですが、 それも現代に固有の形態になっていると言えます。
しかしファサードに関しては、 水平連続窓が主流だったのが徐々に変化して、 多様なものが出てきています。 特に仕上げ素材は多様化が進んでいます。 ですから、 船場固有の敷地に建っている建物のスケールは同じですが、 ファサードデザインは様々である。 これが船場建築の特徴です。 これらの建物が百年後も残っていたら、 今申し上げたことが船場建築の20世紀の特徴だと言えるのではないかと思います。
船場らしさとは何かを考えると、 やはりその歴史性、 固有性を継承することがその都市らしさを保ち続けることではないでしょうか。 例えば、 船場だと4百年前からの敷地がそのまま使われ続けたという歴史があります。 それを発見し、 その価値を認識することが重要だと思います。
それが大事だと思われなければ、 歴史ある町割が壊され再開発されていく可能性も出てくるでしょう。 変わらない価値、 今回の場合は敷地でしたが、 その場所の固有の価値を継承しながら成長し続ける建築をバナキュラー建築と呼ぶとすると、 バナキュラー建築が成長できてこそ、 都市も発展できるのだと私は考えています。
今後の船場を考える
再び、 船場建築のバナキュラー性とは
以上述べた調査から、 船場建築のバナキュラー性を述べてみたいと思います。 最初に言いましたように、 バナキュラー建築はその場所固有のものでありながら多様性があるという二面性があります。 船場建築のバナキュラー性は以下の要素を備えていると言えるのではないでしょうか。
今後の都市建築のあり方
最後に、 今後の都市建築はどうあるべきかを述べたいと思います。 現代社会は建築だけでなく社会システムを含む全てのものが変化しており、 古いものを保存するだけではもう対応できないのではないかと思います。 もちろん古いものを残すことは大事な事ですが、 大阪のように古い建築の隣に超高層が建つ街だと、 果たしてその残し方でいいのかと考えてしまいます。
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