ここで考えておきたい課題のひとつは、 公費解体についてです。 日本人にはどうしても新しいものの方がいいという価値観が根強くあるから公費解体に抵抗感がないのですが、 公費解体が是なら公費修理もあって良いのではないかと考えます。 今度の中越地震でも、 農村地域の趣きのある景観が急速に変化することが予想されており、 深刻な問題となっています。
もうひとつは、 地域において価値ある景観の形成に貢献している建物の指定拡大が行われる必要があるのではないかということです。
最後に、 一般的な地区も景観形成地区に指定できるようにしたいということです。 すでにそういう道具立てはいっぱいあるのですが、 それが一般の人にはなかなか知られていないという問題があると思います。 市民、 住民が愛着を持って良いまちづくりに取り組めるような制度の確立が必要だと思います。
(3)の景観重要建築物とは、 文化財級の建物でなくても景観上大事だと思われる建物については、 その大切さを評価し公表すべきだということです。
(6)の公共事業による景観形成は、 先ほどの道路整備のように公共事業で景観が壊れる例もけっこうありますから、 公共事業で景観を形成するという方針をちゃんと確立しておかなければならないと思います。
以上で、 私の報告を終わります。
将来の景観まちづくり
課題
震災後の出来事は、 普通のまちで20年かかって起きる変化が、 2、 3年で起きてしまった結果だと考えれば分かりやすいと思います。
提言
最後に、 将来の景観まちづくりへの提言を列挙します。
(1)景観の形成を考慮したまちづくり地区制度
(2)の景観アドバイザーの派遣・育成は予算不足だからやめようという意見もありますが、 やはり継続して欲しい施策です。
(2)景観アドバイザー(専門家)の派遣・育成の継続
(3)景観重要建築物等の指定の推進及び助成
(4)建築物等の新築、 改築、 増築等に対する指導、 助言の徹底
(5)住民活動、 町並み、 建築物等の公募・表彰
(6)公共事業による先導的な景観形成の推進
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