被害の概要
地震被害は、死亡者数と行方不明者数を合わせて2471人、負傷者数は1万1305人でした。断層が広い範囲で走っているため、被災地は、南北約105km、東西約80km、合計28郷鎮と広範囲に及び、被災者数は約31万人にのぼっています。しかし、断層の上盤側には中央山脈と呼ばれる3000m級の高い山が連なっている地域であるため人口は少なく、被災地全体を見てもほとんどが山村、農村でした。一番大きなまちである埔里でも人口は約9万人でした。そのため、阪神淡路大震災に比べると被害は小さかった。もし、この断層がもう少し西側に位置すると、台湾で3番目の都市である台中市にあたるため、死傷者数は数倍になると思います。でも、集集大地震の揺れで、台中市でも数棟のマンションが倒れました。
全体を見ると建物の被害状況は、全壊3万8935戸、半壊4万5320戸で、合計約8万戸が被害を受けました。直接損失金額は107億ドルと言われていますが、実際はそれ以上だと思います。
建物の崩壊状況です。地下駐車場への入口部分の強度が足りないか、アーケードが設置されているところは強度が弱いため、一階部分が潰れてしまったところも多く見られました。土レンガでつくられた古い住宅はほとんど壊れました。
左は断層上にある石岡ダムです。日本統治時代に建設したもので、全体としては頑丈ですが、断層が通った部分は壊れました。現在は修復されています。
地震のあとの一番の問題は山崩れです(写真、真ん中と右)。地震当時は崩れていなかった部分にもヒビが入り、大雨が降ると崩れるのです。地震から5年が経っても、台風の季節には、土石流や山崩れがよく発生します。被災地域の多くは昔から美しい地形を有し、有名な観光地でしたが、地震のために観光がだめになってしまいました。
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