台湾の参加型まちづくりと震災復興について
左三角
前に 上三角目次へ 三角印次へ

 

協働型復興まちづくりの要素と仕組み

 

震災復興のプロセス

 以上の事例から、復興まちづくりは以下のように考えて良いかと思います。

 

画像ta29
 
 一つは、地震が発生して住民は大変不安であるため、一気に建物を再建していくよりも、まずは救出救命・救急医療や安置などにより住民を安心させていくことが重要なのです。その安心が得られたら少しずつ生活を回復していき、安定させていくのです。安心や安定が確保されてこそ、環境の整備や建物の再建ができ、復興が始まっていくのだと思います。先ほど紹介した桃米社区も一気に建物を再建するよりも、安心や安定を重視したため、うまく復興につながっていったのだと思います。一般に復興を考える時、皆、建物の再建を第一に考えますが、復興まちづくりの場合は、住民にとって大切なのは安心や安定のプロセスなのだと思います。

 

画像ta30
 
 もう一つは、一緒にやっていこうという意識がなければ復興まちづくりはできませんし、そのことが最後には合意形成につながっていくのだと思います。その中で、いくつかの課題が出てきます。どのようなプロセスで進めていくか、如何なる組織を設立するか、どのような課題を選ぶか、運営管理システムを如何につくるかなどです。そして、これを進めていくためには学習が必要となってきます。現在、台湾で、まちづくりがうまく進んでいるところの多くは、学習に力を入れています。桃米社区でも生態を勉強するグループや、料理を勉強するグループなどがほとんど毎日勉強しています。そして、このような学習をするには、今まで経験のない人をサポートするシステムが必要となってきます。

 最終的な合意形成は住民達にしかできません。したがって、我々ができることは、やる気のある人をサポートすることだけなのです。政府の制度や専門家の支援などもそのサポーティングシステムの一環だと思います。

左三角前に 上三角目次へ 三角印次へ


このページへのご意見はJUDI

(C) by 都市環境デザイン会議関西ブロック JUDI Kansai

JUDIホームページへ
学芸出版社ホームページへ