台湾の参加型まちづくりと震災復興について
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協働型復興まちづくりの特徴と課題

 

協働型復興まちづくりの特徴

 最後に、台湾での協働型復興まちづくりの特徴をまとめました。

 一つ目は、震災復興は建物を再建するよりも生活や産業に力を入れていくことです。

 二つ目は、復興にあたっては、土地所有の問題や人口流出の問題など、複雑に関係している多様な問題を一括に解決していく必要があったことです。

 三つ目は、特定のパターンではなく、地域特性に合わせてやっていく手法やプロセスが考えられていることです。

 四つ目は、震災以前から社区営造の経験が多少はありましたが、震災後の緊急性のあるところでは、平常時と異なる状況が多く、そのため、試行錯誤で進めていったことです。その代わりに、自由度が大きく、自由な発想も出てきました。しかし、現在、その発想によりうまくいったところと、うまくいかなかったところの落差が表れてきていることが問題となってきています。

 五つ目は、震災以前、都市部でまちづくりを進めてきたときには考えていなかったような、生態系の問題や山崩れの問題、産業の問題など、農村部の復興まちづくりこその課題を解決していく必要があったことです。


協働型復興まちづくりの課題

 今後の課題についてまとめました。

 一つ目は、これまではいくつかの事例を試しながらやってきましたが、それらを総合的な方法論やプロセスとして整備していく必要があります。

 二つ目は、行政との関わり方も含め、住民参加の協働型まちづくりが震災復興政策の中のどこに位置づけられれば良いかを明確にしていく必要があります。

 三つ目は、短期間の中で沢山のことを進めなければならず、そのためには、震災前から用意し、いざという時のために、シナリオを考えておく必要があります。但し、平常時に面するまちづくりの問題と復興時の問題は差があることも考えておかなければなりません。

 四つ目は、サポート体制の確立です。住民がやりたくてもできないところが必ず出てきます。我々専門家が長期的に滞在し、住民と一緒に進めていかなければなりませんが、実際は長期的滞在が容易ではありません。特に僻地でのサポート体制が問題だと思います。制度も含め住民参加をサポートする体制を確立していく必要があります。

 五つ目は、台湾での社区営造は、日本やアメリカ、ヨーロッパの経験を参考にし、台湾の社会や政治に合わせて進めてきたものです。しかし、これまでは専門家と行政の主導が多かったため、今後は、本当に住民が主体として進めていけるようにする必要があります。

 台湾と日本は共に自然災害の多い国です。台湾は集集大地震の前に日本から色々勉強しました。台湾の山間部の被害状況は今度の中越地震に似ていると思います。集集大地震後、台湾で実践的にやってきたことを、中越地震の被災者の方々にも提供していけたら幸いと思います。

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