明日香村の歴史的風土の推移とこれからの展開
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古都法とは

 

明日香村の特殊性

宮前(スペースビジョン研究所)

 今、鳴海先生からご紹介頂きましたが、最初に明日香村の歴史的風土に関わったのは学生時代です。

 間が少し飛びましたが、また最近10年ほどその推移を見てきました。

 景観法が出来た今日、明日香村の歴史的風土の保存をどのように進めていくべきなのか、皆さんと一緒に考えてみたいと思っております。

 明日香村の歴史的風土は、議員立法による「古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法(以下古都法)」(昭和41年施行)、さらに昭和41年から10年近く経った昭和55年に政令で追加指定された「明日香村における歴史的風土の保存及び生活環境の整備等に関する特別措置法(以下明日香法)」の運用によって保存が図られています。歴史的風土の保存は古都法で、歴史的風土の保存と住民の生活とをいかに調和させるかという目的をもった明日香法という二つの法律で維持されていることが特徴です。

 


古都法の目的

 古都法の目的は、第一条にあるように、古都における歴史的風土を「わが国固有の文化的資産として国民が等しくその恵沢を享受し、後代の国民に継承されるべきもの」とし、国が特別に措置を定めて保全するとしています。そしてこれらの措置をもって「国土愛の高揚に資する」こと、および「広く文化の向上発展に寄与する」ことも目的としています。

 法でいう「古都」とは「わが国往時の政治、文化の中心等として歴史上重要な地位を有する都市」という定義があります。

 それに該当するとして最初に指定されたのが京都、奈良、鎌倉の3都市でした。後に政令によって奈良県の天理市、橿原市、桜井市、斑鳩町、明日香村が指定されました。平成12年に鎌倉に隣接する逗子市が、また一番新しくは大津市が指定を受け、現在これら8市1町1村が古都に指定されています。

 また、「歴史的風土」は、やはり法により「わが国の歴史上意義を有する建造物、遺跡等が周囲の自然環境と一体をなして古都における伝統と文化を具現し、及び形成している土地の状況」(「古都法」第2条 定義)であると規定されています。

 この歴史的建造物や遺跡と一体をなしている土地の状況を自然的環境という土地利用として保全していこうというところが、景観法の目的と異なっている部分です。

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