また「日本人の心のふるさと」とよく言われますように、ほとんどが田園地域です。全域が指定対象であるため、先ほどの3都市と違って歴史的資産と自然的環境が不可分の関係にあるといえます。つまり農業や林業といった生産活動の場、居住地すべてが歴史的風土を構成しているともいえます。
このように生産活動の場や居住地全域の規制によって風土あるいは景観が守られていると言ってもよいかと思われます。
それからもう一つの特徴は「目に見える遺産」というものが数少ないことです。特徴的なのは巨大な石造遺産ですが、そのほとんどが今は見えない「潜在的な遺産」です。これらが発掘されても、もう一度きれいに埋め戻されて見えない遺跡になってしまいます。もちろん亀形石造物など注目を浴びて一部見ることができるような場所もありますが、土のなかの「潜在的な遺産」が明日香村の歴史的風土の特徴かと思われます。
明日香村の歴史的風土の特徴
全域が特別保存地区
明日香村の歴史的風土の特徴(発掘現場)
明日香村はこの3つの古都と比べてかなり違っています。3都市とも古都法によって歴史的風土保存地域に指定されているのは市域の一部であるわけですが、明日香村の場合は全域が歴史的風土保存地域であり、しかも特別保存地区に指定されています。
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