規制の内容は場所によって違うとは思うのですが、例えば歴史的風土保存区域における景観あるいは建物の「デザインコード」のようなものは作られているのでしょうか。
宮前:
高度などの基準は風致条例で決めているので、古都法では細かな基準はありません。
例えば、風致条例で高さが決められていますし、建ペイ、壁面後退、緑地率なども指定があります。
またガイドラインで屋根については「瓦・藁・樹皮・銅板・木版その他これに類似する外観を有する材料で拭かれていること」、外壁は「漆喰、木板その他これに類似する外観を有する材料」などと指定されています。
しかしそれ以外の細かな意匠については、例えば塀だとか石積みだとかには特に指定はありません。石積みなら、間知石積みであっても、とにかく石積みは石積みという判断がなされます。
「知のデザインの展開」というのはどういうイメージなんでしょう。
宮前:
そうですね、例えば先ほどの石積みの話ですと、飛鳥川の河原の石を使ったりとか、古い時代には凝灰岩を使ったりしていたのですが、その素材を知らずして石であればいいだろうといったことでよいのかということです。道路であれば地下に何の遺跡があるかという事が理解されないまま直線で最短距離でつくれば良いとか、河川も多自然型であれば10m区間ごとに違っていてもいいだろうとか、とにかくそこにあるこれまでの営みや蓄積にあまり関係なくデザインが展開されているのが現状なのです。
そういった状況のなかでは、これまでのストックを知ったうえで今後はどうするのかということを、考えていく必要があるのではないでしょうか、という意味です。
鳴海:
最近はデータをデジタル化して、しょっちゅう入れ替えることもできますし、そういったガイドブック、「成長するガイドライン」みたいなものを作ることは結構しやすいと思います。最初は間違っててもいいから作ってみて、その都度修正していけばいいのですから。
そういうものをぜひ作って下さい。
最後の「人の活動」というのはどういったイメージなんでしょう。
宮前:
一番典型的な例を挙げますと、村の南部に大阪湾が見えるくらい眺望がよい所に12戸くらいの集落があります。そこではその眺望を資産ととらえて、かつ自分達だけではなく、いわゆる都市農村交流活動を展開したいと考えている方もいらっしゃるのです。
ただ、各々の条件下で、いったいどのようにすれば活動を展開できるのかが課題です。
具体的に言うと、例えばある家で農家民泊できるようにすれば人が来るだろうというアイデアが出ても、それに対して旅館法などの規制があります。また別の所で農地が空いているが自分達では手入れが出来ないから、クラインガルテンとか分区園をやりたいと言っても、今度は農地法の縛りがあったりするわけです。
そんな状況ですので、何か特区でも設けないことには、なかなか自由な活動が展開できないというのが現状です。
それともう一つは観光施設の話ですが、例えば、歩道があって車道があって看板が設置されて石のベンチみたいなのがあるのですが、ここで何をするのかということが考えられていない場合があります。向かいにある何かを見る場が設定されているというのでもないわけです。
何か新しいものを作るのであれば、ここで人は何をするのか、ここでどんな活動を誘発できるのかを考慮したデザインが必要ではないかと思うのです。
知のデザインの展開
デザイン規制について
会場より:
知のデザインとは
鳴海:
人の活動とは
鳴海:
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