ニュータウンの持続可能なマネジメントの展望
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成熟過程における住環境マネジメントの展望

 

住環境マネジメントの課題と関係主体の役割

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更新期の住環境MGの課題と関係主体の役割
 
 あとは考察をして締めくくりとなります。ここで、今まさに成熟課程のまっただ中にあると思うのですが、その千里ニュータウンにこれから何が必要なのかを7つの課題にまとめました。

 最初は「多様な市民活動の展開」です。開発への反対も必要でしょうが、反対だけではなくて、新たに価値を見いだしていくような活動も含めてのことです。それから地区の住民の手による「住環境保全ルールづくり」や、大きく変化していく中で住民がイメージを共有しながらまちづくり続けていくためにも、「地域の将来像を共有する」必要があるのではないでしょうか。

 それから高齢化の進展という状況もありますが、多世代が集まれる「住民の交流拠点の整備」が必要だと思います。これは、千里ニュータウンにおける居住者の交流や活動の拠点になっている「ひがしまち街角広場」のような場所をイメージしています。このような場がそれぞれの地域や住区ごとにあってもいいのではないでしょうか。

 また「住まいと暮らしの支援」や「多様な住宅や施設の導入」も行っていかなくてはならないでしょう。

 最後の課題としては、以上に挙げたような活動を繋いでいくためにも、「ネットワークの拠点の整備」が必要ではないでしょうか。


協働と連携のイメージ

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関係主体のネットワークによる協働のイメージ
 
 以上のような課題に対して、どのような主体がそれぞれ担っていくべきかということを少し考えていきたいと思います。

 これまでは大阪府や大阪府千里センターが担ってきた部分がとても大きかったわけですが、大阪府千里センターが廃止されたこともあり、これからは地元市である吹田市と豊中市、住民が中心になって、大学・専門家・NPOなども参加しながら、協働していく必要があるでしょう。

 それから、府営・公社・都市再生機構などの公的住宅管理者に関してです。これから建替えが本格化し、土地の高度利用によって生まれる余剰地が民間に売却されると想像されます。公的住宅管理者や民間企業が従来型のファミリー向けマンションだけでなく、多様な住宅を供給するよう、公的住宅管理者が自戒するとともに、大阪府、吹田市・豊中市の行政が民間企業を指導していく必要があるでしょう。

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マネジメントセンターと関係主体の連携のイメージ
 
 最後に、こんな場所もあった方が望ましいと考えたのが「千里ニュータウン・マネジメントセンター」です。これは何をするところかというと、そこにいけば千里ニュータウンのことが分かり、相談にも乗ってもらえる情報収集・提供の場、人々の交流と学習の場や機会を提供するところです。それから、いろいろな組織・主体と連携していろいろなプロジェクトを企画したり、将来的にはいろいろな建替え計画などに関して住環境面から評価したりデザインを行うべきではないかと思っています。

 「千里ニュータウン・マネジメントセンター」は、実は千里ニュータウンのまちびらき20周年を記念して延藤安弘先生や鳴海先生などいろいろな先生方が集まって行われた「千里ニュータウンの総合評価に関する調査」の中で提案された「千里町づくり協議会(千里RAHK)」に近いイメージの場所です。

 まちびらき20周年の頃には実現しなかったのですが、40周年を経た現在の千里ニュータウンであれば、こういうものも実現できるのではないかと私は思っています。

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