「都市的文脈」からのアプローチを
コンテクスチュアリズムという考えは、鳴海先生をはじめとして、いろいろな方が紹介されています。建築や土木構造物を「単語」に例えると、単語を羅列しても意味がないように、一定の相互関係で意味を作り出すことが必要なのです。都市的な文脈を共有する枠組みを考えていくことが必要なのです。その地区の景観、エコロジーの特質、敷地が持つ社会的・歴史的な知見などを考える必要があります。
景観法の景観地区、景観形成地区、建築・景観協定、地区憲章などに代表される、地区のまちづくりや景観形成の中に、その地区の特異なコンテクストを把握・継承されるような考え方を盛り込んでいけないのでしょうか。
そしてこのコンテクストをどうやって作っていくのかということですが、行政・専門家のみならずユーザーや住民の参画が必要です。
それから、大学教育の中で都市デザイン・都市計画は何を教えるべきなのかということです。近代都市計画では、都市の意味や地区のコンテクストを重視してきませんでした。大学教育の中で、地区の都市的文脈、コンテクストを読んだり、記述したりする能力の育成が必要ではないでしょうか。
「都市的文脈」の継承の難しさ
都市的なコンテクストを継承する上では、いくつか問題点があります。
一つはコンテクストの理解が主観に頼らざるを得ないものが多く、共有しづらいということです。
また、コンテクストというのは後ろ向きであることです。土地利用をはじめとして都市は常に変化していくので、コンテクストは過去の継承のみならず、未来に向けた発展も取り込んでいかなければならないでしょう。例えば、「御堂筋はオフィス街だ」と文脈にこだわると、一階にギャラリーや商業店舗を入れていく上での足枷になってしまう可能性があります。未来に向けた発想を入れていかなければならないのです。
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(BY 金澤成保)
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そして、コンテクストは直喩よりも隠喩で表現する必要があります。例えば「カエル」という言葉でコンテクストを直接表現するのではなく、「カエルが住む環境」、すなわちカエルが生きる水や空気や四季などを、ランドスケープや建築的にどう表現できるのかが大事なのです。
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