地域には、来街者中心の町と、そうでない町があります。北区では昼夜間人口比が5倍、中央区では10倍近くになっています。一方で、住宅系の城東区や東住吉区などでは昼間人口は若干減るくらいです。このことからもわかるように、都市というものを、単純に住民という概念で考えることに限界がきているのです。来街者が使う地域と、住民主体に使われる地区では、都市計画の意思決定の方法は基本的に変わるべきなのです。 都市は多様な「ユーザー」の共有財
「ユーザー」は住民のみにあらず
前々から都市計画のあり方の限界だと感じていることです。例えば、大阪市のことは住民と地権者が基本的に決めていきます。しかし、都心が衰退していく状況の中で、商店主はそこに住んでいません。御堂筋でもそうですが、小さい自治体でも同じす。そのため、住民や地権者だけではなく、そこを使っている通勤・通学者や観光客などの、来街者を主体に考える必要があります。
(JR・私鉄(H16年)、地下鉄(H10年)合計)(BY 金澤成保) |
大阪では京都と違って、キタとかミナミ等の都心の盛り場を観光の目的とした人がたくさんいます。
別の観点で言えば人口減少社会の中で定住人口がどんどん減り、交流を前提にせざるを得ない状況があります。都市再生の様々なプロジェクトが進んでいるなかで、その仕組みをどう考えていったらよいのでしょうか。
最近、広域行政が進展してきており、市町村合併や道州制など、市を超えた大都市圏の行政を考えるようになってきました。先ほど、昼夜間人口比から見ていただいたように、大阪には周辺の自治体から、大阪市民でない毎日数百万人というオーダーの人が訪れます。その人々は、人生の半分から3分の1を、大阪市内で過ごすのです。
もちろん、来街者だけが得するのはよくありません。来街者にも都市に対する権利と義務があります。住民税や、東京で一時期話題になったホテル税のようなものも考えられます。
都市を訪れる多くの来街者には、権利同様に義務もあるのではないかということで、大きな枠組みを作っていく必要があるのではないでしょうか。
まちづくりに「ユーザー」の多角的参画を
東住吉区や城東区は住民が主体と考えてもよいのですが、北区や中央区、観光地などでは、来街者の代表もまちづくりに参加しながら、意思決定の主体となる仕組みを考える必要があるのではないでしょうか。
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