京都市中心部の新しい景観政策
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これまでの京都市の景観に関する取組

 

京都市の景観形成の基本的な考え方

 京都はご存じのように1200年余の時の流れを経験した歴史都市です。その間に色々と優れた伝統と文化を形成して参りました。

 「景観」とは、そういった伝統と文化が生み育ててきた日常の生業も含めたものが表出することによって、形成されていくと思っています。単なる事物で風景がこしらえられていくのではなく、風景そのものに、その地域の生活文化がしっかり根付いている、それが現れたものが「景観」だというわけです。

 特に歴史都市の場合、これからの現代的な景観と伝統的な景観との調和と、その適切な対比が重要になってくると思います。

 京都では「京都タワー」をめぐり景観論争が起こった時代がございました。バブルや市場経済主義がはびこった時代、あるいは様々な開発が進んだ時代を経て、平成の初め頃、京都の景観をどうするんだという景観議論が盛んになりました。

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京都市の景観形成の基本的な考え方
 
 そこで、京都市における土地利用と景観形成の基本的な考え方を明らかにするため、「京都市土地利用及び景観対策についてのまちづくり審議会」を平成3年に設置いたしました。

 この審議会において平成3年、4年に第一次、第二次の答申が出されましたが、そこで出された提言によって、それまで「保存と開発」といったキーワードで語られていたまちづくりにおいて、「保全・再生・創造」という三つのキーワードを使うようになりました。

 これは京都市域を北部・中心部・南部の大きく三つに分け、北部は「保全」、都心部は「再生」、そして南部では新しい機能を集積していく「創造」を目指そうとするものです。

 まず北部ですが、ご存じのように京都は東・北・西と三方を美しい山並みに囲まれています。これら市街地の周辺部が北部を代表する地域です。

 また都心部は、かつて平安京のあった市の中心部です。幸い京都は大きな戦災を免れていますから、日本の建築文化を代表する京町家が沢山残っており、歴史的な風情のある地域があります。しかし一方でそのような風情が崩れているところもございますので、そういったものを生業等とともに再生していこうという意味で、「再生」という言葉を使っています。

 それから、京都駅から南に油小路という50m級の大通りがあり、その概ね15m上を第二京阪(京都高速道路油小路線)などの高架道路につながっています。ここを中心とする南部は、これからの新しい京都の現代的な活力を生んでいく所です。

 このように「保全・再生・創造」の三つのキーワードで、京都のまちづくりを進めています。


景観に関する地区指定状況

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景観に関する地区指定状況
 
 このように京都市では、1200年の悠久の時の流れの中で、様々な伝統と文化を生み育ててきました。また、それらをもとにして、美しい景観が培われてきました。したがって京都のまちづくりでは、早くから「景観」という切り口をまちづくりの考え方の中に取り入れ国の制度も積極的に活用してまいりました。

 しかし地区によって様々な特性を持つ京都市の場合、それだけでは景観施策が行き届かない部分があり京都市独自の制度、仕組みも積極的に創設してきました。

 例えば、鎌倉の鶴岡八幡宮裏側での開発や京都の双ケ丘での開発などがあって出来たいわゆる「古都保存法」に基づく「歴史的風土保存区域」、そのうちさらに凍結保存までを目的とする「特別保存地区」、あるいは自然景観を守るための「特別緑地保全地区」といった制度仕組みを活用していますが、これらはすべて国による制度です。

 また京都市では1万7831haを「風致地区」に指定しています。これも国の制度ですが、この面積は、全国の風致地区の11%にあたり、国の制度を積極的に活用している一つの現れです。

 しかし、それだけでは山全体の自然風景が保てない部分もあり、このような地区については、京都市独自の条例を創設し「自然風景保全条例」と言いますが、この条例によって、多少風致地区と重なるところもありますが、「自然風景保全地区」を指定し、山の緑を守ろうとしています。

 それから市街地において国の制度を活用している例をあげますと、都市計画法の中にあって景観を保全すべき所を「美観地区」に指定し、建築基準法に基づく条例を作ることができるようにしています。景観法の制定後は「景観地区」という名前に変わっておりますが、この美観地区を、約2000ha指定しております。これは実に全国の美観地区面積の80%にあたります。

 それからもう一つ、文化財保護法の改正によってつくられた「伝統的建造物群保存地区」についても4地区、15haほど指定しております。

 これらの国の制度を活用したものとあわせて、市街地においても京都市独自の制度・仕組みを創り景観施策に取り組んでいます。

 美観地区とまではいえない、あるいは伝統的建造物群保存地区とは言えない所でも、例えば祇園町などでは歴史的な町並を形成している地区があります。このような地区の町並景観の保全のために「歴史的景観保全修景地区」といった京都独自の地区を国の制度である美観地区などに重ねて指定し新築や改修に補助をすることで修景していただいています。またその他の市街地においても、「建造物修景地区」という独自の地に指定して少しデザイン上の指導を行っています。

 


自然・歴史的景観の保全

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自然・歴史的景観の保全/土地所有者からの申出により土地の買入れを行ない、適切に維持管理(約200ヘクタール)、写真は嵯峨野
 
 京都の場合、市街地を一歩出ますと、すぐに足元から田畑が広がり、その向こうはなだらかな山並みという風景があります。このような田畑を近景・中景に、そして山並みと空を背景にするような自然の風景と共存できる場所に、京都ではすぐに行くことができます。これらを守るため、先ほどの画面にもあったような自然・歴史的景観の保全策の制度・仕組みを創っているわけです。

 例えば嵯峨野では、「歴史的風土特別保存地区」として凍結保存していくため、現在京都市が約200haほど買い上げて風景を守っていこうとしています。もちろん市もかなり財源が厳しいので、なかなかこの買い上げが上手くいかずに苦慮しております。


歴史的街並みの保全・再生

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歴史的街並みの保全・再生(祇園新橋)
 
 一方、市街地の場合、例えば祇園新橋では、歴史的町並を形成する伝統的な木造建築物が群としてまとまっていますので「伝統的建造物群保存地区」(以下、伝建地区)という文化財保護法の制度を活用して、建築に関する補助や電柱などをなるべく建てないようにするなどして、石畳とお茶屋さん等が並ぶ町並の風情を守っています。

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歴史的町並の保全・再生(三条通、西陣)
 
 もう少し、市街地の中心部に入った所にある、三条通という通りを西に進んだ所に京都文化博物館があります。これは、明治の終わり頃に建てられたものですが、このような優れた近代の洋風建築物も、京都ではどんどん受け入れながら、単に守るというだけでなく、まるで歴史が町並の中に積み重なっているような風情を持っています。

 さらにちょっと一般の街の方に入って行きますと、例えば西陣があります。ここは西陣織の本場であり京町家の中で、昔は千両箱が行き来したということで千両ヶ辻と呼ばれる地名が今も残っていますが、とても活性化した地区でした。

 しかし現在では残念ながら、町家が群として残っておりません。現代的な形に町並が変更している所もあるために伝建地区には出来ませんでした。

 そこで、この辺りについては美観地区の指定とともに、京都市独自の「界わい景観整備地区」に指定して、補助による保全と再生に向けて努力していただいています。


市街地景観の保全・再生・創造

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鴨川の清流に配慮した町並景観の整備
 
 そして、現代的な人と水辺の組み合わせによる風情を持つ地区に、鴨川沿岸があります。

 景観づくり審議会とは別に、京都市では「京都創生」という新たな取り組みをしておりますが、そのリーフレットを去年の12月に作りました。そのときの資料の写真です。時期的に雨が少なくて中州が出来ておりますが、これは府立病院のあるあたりです。

 京都は都心部を鴨川、西の方に桂川が流れており、特に鴨川は源となる山間部から色んな表情を見せながら、町の真ん中を流れていきます。

 この鴨川の良好な水辺空間の形成のためその沿岸に建つ建築物に対するデザイン指導が重要となります。ここでは美観地区を指定し、高さ、デザインの指導をしています。

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御所美観地区
 
 同様に烏丸通りでも東に隣接する御所の目の前に建つ共同住宅について指導していくために沿道に「美観地区」を指定しています。

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姉小路通
 
 それからもっと都心部に行きますと、ちょうど中心に六本の幹線道路が漢字の田の字を作るように交差しているところがございます。よく「田の字」のアンコの部分だとか、皮の部分だとか言われている所です。

 ここでは昔は染色関係なども多かったのですが、いろんな物づくりをしながらそこに住んいるという、職住が近接した「職住共存」の歴史的な町並がつくられています。

 そういった都心部の風情を守るため、たとえば姉小路界わいにつきましては「歴史的界わい景観整備地区」という京都市独自の制度を使って、町並をととのえようとしています。

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御池通における沿道景観の形成
 
 また御池通は、京都で数少ない50m級の道路で東西に走っている通りです。この道の烏丸通と交差する辺りに立って東を見ると東山の山並みが見え、振り返って西を見ますと西山連峰が見えます。つまり京都の街の真ん中から、先ほど保全を図ると言っていた三方の山並みが遠景として見えるわけです。

 幹線道路としてこの通りの現代的な景観形成を図りつつ、遠くに見える山並みの風景にも配慮した「通り景観」を形成するため、「沿道景観形成地区」というこれも京都市独自の制度仕組みによってデザイン指導をしたり、また、この通りの沿道に「特別用途地区」を指定して1階は店舗などの賑わい施設を入れるよう指導しています。


景観上重要な建造物の保全

 ここまでご紹介したものは面的・線的に町並を保全しよう、景観形成をしようという仕組みでしたが、一方で、ぽつんぽつんとではありますが良い伝統木造建築が残っていたり、近代的な建築物があったりということがございます。

 これらの周りにはビルが並んでいるわけですが、それでも建物そのものを守っていく必要がある場合、単体で「歴史的意匠建造物」という指定をして、その修景に掛かる費用を補助し、保全していってもらえるよう支援するという補助制度を創っています。そして後々は、この取り組みによって町並として連続させていきたいと考えています。

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京町家/近代建築(南座)
 
 ところで景観は、何も自然風景だとか、建築物による町の風景といったものだけを指すのではなく、日常の都市活動の中から生み出されるあらゆるものが、都市の景観に大きく作用しております。

 放置自転車や違法駐車、上空に張り巡らされた電線類等、もっと言えば、誰も居ない道路の風景と、多くの人が往きかっている雑踏の風景、人波の動態もまた景観を左右するものとなります。


屋外広告物

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チェーン店の広告(標準仕様/本市での事例)
 
 そして広告物も同様に大きな景観要素となるものです。独立のものもあれば建築物に付随しているものもありますが、この広告物のあり方も、町の景観に影響を及ぼしています。

 最近はどこの都市でも常識になっているのかもしれませんが、たとえば全国チェーンのコンビニ店舗の外装や広告について、ちょっとしたことではありますが、京都では看板の配色を変えてもらったりしています。

 京都では、古くは昭和31年から屋外広告物の条例を制定し、各地区に合わせた指導をしてきましたが、ただ、これがなかなか上手くいっていないというところもございます。


無電柱化事業

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無電柱化(祇園町南側の事例)
 
 祇園町の南側地区にある花見小路は、お茶屋さんの並ぶ歴史と風情のある通りです。以前は、電柱があり、道もアスファルト舗装でしたが、今は、歴史的な町並を再生しつつ守っていこうとしています。

 また、この地区は、「美観地区」に指定するとともに、京都市独自の制度である「歴史的景観保全修景地区」に指定し、新築、改修等への助成を行いながら、国と市との両方から助成を行うことで、石畳にし、電線の地中化が行われています。


公共建築の整備

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京都市公共建築デザイン指針(平成12年)
 
 そして、担当は違いますが、京都市自らの建物についても独自の「公共建築のデザイン指針」を作って良好な景観形成に頑張っておりますので、紹介しておきます。

 例えば、伏見の消防署の出張所につきましては、伏見の町の酒蔵が立ち並ぶ風情など、旧伏見市として歴史的な町並が残されていますので、そういった周りの風景に合わせたデザインを取り入れています。

 また、嵯峨野の山裾の所にある市営住宅では、以前の木造住宅が老朽化したので建て替えましたが、まわりの自然風景に合わせたデザインの低層住宅として建てています。

 このように京都市は京都市で地区の特性に合わせたデザインとなるよう頑張っているというわけです。


京都市景観・まちづくりセンターでの取組

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京都市景観・まちづくりセンターでの取組
 
 こういった景観に対する取り組みは、当然のことながら行政だけでは出来ません。市民や事業者、設計者がそれぞれのセンスを駆使し、お互いに京都における景観のあり方を考えながら、協力し合っていかなければいけません。

 そこで、京都市は、平成9年に「京都市景観・まちづくりセンター」という第三セクターを設置しましたが、ここが今回、景観法に基づく全国第1号の景観整備機構の指定を受けました。

 このセンターを中心に、現在、ワークショップや京都のまちづくり・景観づくりに関する情報発信、あるいは市民と一緒になって進めるまちづくり事業など、さまざまな活動を通して、沢山の建築士の方々と協力しながら、京都の景観を守っていこうとしているところです。


伝統的景観保全に係る防火上の措置に関する条例(平成14年)

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新しい防火条例の概要
 
 さて、京都の場合には、やはり本物を作っていきたいという思いがございます。先ほど山崎先生のご紹介にもありましたが、阪神淡路大震災が起こったとき、私は今の公共建築部、かつての営繕部におりました。そこから建築指導課に帰ってきたときに、先程の祇園町南側地区のような歴史的な町並の景観をどうやって残すかという論議がなされていました。

 京都市は大きな戦災を免れましたので、都心部の密集市街地に京町家やお茶屋さんなどの、日本の建築文化の一つの様式を持った建物が残っており、それらが密集して建ち並んでいる風情ある地区があります。

 こういった密集市街地には、都市計画法および建築基準法に基づく防火地域あるいは準防火地域といった火災に強い防火構造の町をつくろうとしているのが通常であり、今の祇園南側地区などもそうですし、都心部もそういった規制を掛けています。

 今は国も構造について随分研究し、防火についてはなんとか伝統的な木造建築を準防火地域の中でも残していけるよう実験もしていただいておりますが、その当時、平成13年頃は、良い町家を残しなさいと言っても、どうすれば木造建築物を合法的に密集市街地に造ることができるんだということで、議論がなされていたわけです。私が指導課に戻ったのが、ちょうどその頃でした。

 そこで、平成14年に京都独自に京都市型の防火条例を創りました。独自に発案した防火基準をこの地域にかけることによって、この地域から準防火地域等の指定を解除するという仕組みをつくったのです。

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防火条例適用地区(祇園町南側地区)
 
 そして、この地域の中で本物の伝統的な木造建築を建てていただけるようにしたわけです。今まではモルタルで覆った上に柱や梁に見える板を貼って真壁構造のように見せ掛けることしかできませんでした。準防火地域で木造建築物を建てるときには隣からの火を防がなくてはいけないということになっていますので、そうした方法しかできなかったんです。

 この条例を活用する事により、裸木造と言いますか、軒裏も化粧の木造で、昔のままの本物の町家を建てて頂くことができるようになったわけです。

 適用第一号は、塀が松に押されて通り側に倒れかけておりました伝統的な高塀でした。つっかい棒をして作成中であった京都市の防火条例が出来るのを待っていただいておりました。そして制定後に木造の高塀を作って頂きました。

 本来ならばこの玄関の戸にしても不燃性材料で作らないと駄目なので、全部板張りといった形では出来ないんですが、現在はそのまま再生できるように仕組みを整えているわけでございます。


職住共存地区の新しい建築ルール

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ルールの概要
 
 次は職住共存地区での取り組みです。東西に伸びる五条通という50m級の大通りから北へ四条通を経て御池通までと、南北に伸びる河原町通から、西へ烏丸通を経て堀川通まで、これら6つの幹線街路が交わるゾーンを先ほども言いました「田の字」と呼んでいます。

 この地区には、昔は染色の工場をはじめとする様々なものづくりが行われていた職住共存地区で、今もその町並を形成してきた京町家群があるのですが、段々とその町並が崩れてきているという状況にあります。

 この地区は、商業地域であり31mという高度地区の指定がされております。この地区において若い人達がどんどん出て行き高齢化が進む中で、マンション建設が盛んとなり、町並が変容してきた時期があり、今もその傾向は、変わっていません。

 遅きに失した所もあるのですが、とにかく出来るだけ早く対策をとることにしました。そこで、用途地域が商業地域で400%、高さ31mだったところを、まず高度地区の変更をし、美観地区をかけて、さらに特別用途地区を指定して、町並を整えようとしました。このやり方を、私はよく三点セットルールと言っています。

 まず、31mまで建てられたところを道路の境界線から一定の範囲までは20mに抑え、美観地区の指定によって通り景観として町並が揃えられるようにデザイン基準を設けました。そして特別用途地区の指定によって、一定規模以上の共同住宅には1階部分に必ず賑わい施設を入れてもらって、職住共存地区に貢献してもらうようにした訳です。共同住宅専用の建築物の場合は、容積率は400%から300%になる基準となっています。

 このような三点セットのルールという都心部の職住共存地区の歴史的な町並、京町家が沢山残っている風情を守っていくための仕組みを、平成15年に作ったわけであります。


斜面地における建築規制

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概要
 
 斜面地に建築物を建てる場合、土を掘る、盛るなどの造成工事をすると、開発許可を受けなければなりませんので、たいていは土をとらずに斜面地を階段状に登っていくような建て方が行われています。

 このときに建築物の高さは「平均地盤面」というものが基準となります。これは、土地が斜めのときに建築物の高さを測る地盤面をどこにするかということになることから、法律では3m以内ごとの平均をとるということになっているのですが、例えば10mの高さ制限が定められている地域でも、平均地盤面で順次測っていくと、斜面下の道路側から見ると何十mもの高さがある建物に見える場合が起こってしまうのです。

 このトリックにあわせて、さらに平均地盤面より一定低い部分は地下室だという言い方ができてしまいます。そうなると法律の緩和規定によって、地下の住宅に関わる部分は容積率の対象から一定除外されることから、斜面地にものすごいボリュームの建物が建ってくることになったわけです。

 これが横浜市で大問題になりまして、条例を作って容積率をしっかりと抑えるといった対策がとられました。

 京都の場合は、平成17年に現在斜面地条例と呼んでいる制度を作り、市街地の緑の斜面地をつぶさせない、緑を残していくという目的で、高低差が6mの範囲でしか建築物を建築できない内容としています。

 勾配が多少きつい山であったら6mの高低差というのは結構すぐ出てしまい、たいてい建てられなくなりますので、階段状の建物は制限されます。このようにして緑の山を出来るだけ残しつつ、かつ斜面地の安全性を保ち、さらにその地域の住環境と通り景観にも配慮したまちづくりを目指しています。


京都市での景観法の活用

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景観法の概要
 
 そうこうするうちに、平成17年6月に景観法が全面施行になりました。

 「景観」ということを表題に掲げた法律は始めてですし、「景観法」という三文字の法律というのも、国の担当者の言葉を借りれば、久しくなかったいわゆる基本法的な法律だということでした。

 また、この景観法は何らかの規制を自治体に義務づける法律ではなく、「できる法律」であります。この景観法に基づいた色んな仕組みを使いたければ自治体で使えるようにしているもので、使いたくなければ使わなくて良いという形の法律になってます。

 京都市では既に今まで「市街地景観整備条例」という独自の条例による制度仕組みをつくっておりましたが、国で景観法が策定された後は、京都市独自でやっていた景観に関する施策を、国の制度を積極的に活用するため景観法に基づく枠組へと移行させていっております。

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京都市での景観法の活用の経過
 
 
 景観法は平成16年6月公布、平成17年6月に全面施行されましたが、京都市ではその12月に景観計画を策定し出発をいたしました。

 それから、先ほどご紹介した「京都市景観・まちづくりセンター」という第三セクターがありますが、このセンターを全国第一号となる「景観整備機構」に指定し、センターが景観法に基づく活動ができるように体制を整えました。

 さらにこの3月、景観法に基づく「景観重要建造物」としての3件を指定いたしました。

 京都の制度に「歴史的意匠建造物」という指定制度があり、現在108件を指定していますが、これらを景観法による「景観重要建造物」に移行させていきたいと思っています。そうすることによって、例えば相続のときの適正評価、あるいは修景のための改修のときに国の補助も受けることができることになります。

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