歴史都市・京都の景観形成のあり方
さて「中間取りまとめ」の概要についてですが、まずは基本的な考え方として、歴史都市・京都の景観を守るのは私達一人一人の使命であり、責務であるということが謳われています。
それから、50年後、100年後といった京都市の将来を見据えて、優れた景観づくりに着手する必要があるということ、そして建造物が、例え私有財産だからとしても、その建物が外部に与える影響、外部の景観は公共財産であるという認識を持っていなければならないこと、自分勝手に真っ黄色とか真っ赤が好みとして建てられては、もちろん趣味は色々あるんでしょうが、通り景観として町を歩いている人達から見ると、ちょっと受け入れ難いものです。
建物の外部景観というものは、公共的な影響をかなり与えるということを市民にも十分理解してもらい、共通認識を浸透させたうえで、建物の高さやデザインなどを制御していこうという提言でありました。
そして最後は、京都の優れた景観の価値を改めて認識し、広く日本あるいは世界の共有の財産として受け入れていただきたいというわけです。
現在、日本は国政として、そのアイデンティティを確立し世界に打ち出そうとしておりますが、そのためにはそれぞれの都市も特性を生かしていく必要があります。そのためにも、京都も、優れた歴史的景観の保全・継承について頑張ろうとしているところです。
以上の基本的な考え方をふまえて、さらに景観形成の5つの基本方針というものが出されました。
(1)“盆地景”を基本に自然と共生する景観形成
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盆地景を基本とする自然景観の保全と、緑景・水景等の自然的景観の連なりを基調とし、積極的な緑化等により自然と共生する都市環境の創出
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まず一つは、京都は「盆地景」であるということです。奈良平城京から都を移されるときの条件の一つとしてこの盆地景ということが大きく理由にありました。賀茂川と高野川が市街地に入って合流し、鴨川となり、更に、桂川、宇治川と合流して淀川・大阪湾に流れ込みます。その市街地の中に御所や二条城という歴史的遺産があります。
このような自然景観の保全と同時に、「盆地景」であることを基本としたまちづくりを意識しなければいけないということが一つ目にあります。
(2)伝統文化の継承と新たな創造との調和を基調とする景観形成
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歴史的景観の保全・再生と、創造的視点を加えた、新たな時代を代表する優れた景観の創出を図り、これらが調和する都市のイメージを具現化
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二つ目は先ほど申しましたように、景観というのは伝統や文化を基層として培われるものでありますから、日常の暮らしや生業を無視しては駄目ですし、単なる箱庭を作るのではない。伝統、文化、そして現代生活といったものを組み合わせたうえで、それらを基調とした景観を考えていく必要があります。
(3)“京都らしさ”を活かした個性ある多様な空間から構成される景観形成
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日常の暮らしや生業から醸し出される京都らしさを活かした個性ある多様な空間の創出と、これらが連続し重なりあうことによって構成される京都らしさを感じさせる都市空間の創出
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三つ目は、京都らしさを活かした多様な空間から構成される景観を形成していこうということです。
例えば、愛宕山の麓にある鳥居本という伝建地区では、かや葺きの伝統的な村落がやさしい山並みに抱かれているような景観を醸し出しています。
(4)都市の活力を生み出す景観形成
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京都に付加価値をもたらし、居住者や来訪者の増加、優れた人材の集積、地場産業・観光産業・知識産業等の投資の増大につなげ、都市の活力の維持・向上の源とする
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四つ目として、京都の景観形成は、歴史都市・京都としての都市活力を生み出すものでなくてはならないということです。
もちろん各都市それぞれ特性というものがありますので一概には言えませんが、あくまで京都の場合は、こういった歴史性をしっかりと踏まえて、他都市とは違う歴史都市としての付加価値を高めることで、居住者や来訪者が増加し、またそれらの人材を目指して地場産業の振興や知識産業が京都に入ってきてくれる。そして都市の活力が生み出される。
つまり歴史都市という付加価値を育むことによって、都心の活力の維持向上がかなうというわけです。
景観形成はそれだけでとらえるのではなく、それぞれの都市の特性に合わせた、都市の活力を考える景観形成でなくてはならないでしょう。
(5)行政、市民、事業者等のパートナーシップによる景観形成
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行政、市民、事業者、専門家、NPO等のあらゆる主体が、京都の景観の価値をあらためて認識し、それぞれの役割を踏まえ、一体となって取り組む
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そして最後は、先ほども触れましたけれども、このような活動は行政だけでできるものではありません。市民の方や事業者にも意識してもらい、パートナーシップによって景観形成に取り組んでいくような仕組みを作っていく必要があるということです。
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