文字を入れた景観の評価
文字グループはそれぞれ「特徴なし」「高級・疎遠」「大衆・疎遠」「高級・身近」「大衆・身近」の五つに分けられ、それぞれの景観に入れるとどう景観の点数が変わるかを見ていきました。
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ピンク:文字を合成したことによって評価が上がったもの、水色:文字を合成したことによって評価が下がったもの(4未満)、青:文字を合成したことによって評価が下がったもの(4以上)
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文字なし景観の時は6点だったのが、文字を入れると4.9点に下がったところがあります。また、6点から2.69点に下がる文字群、2.76点、3.21点に下がってしまう文字群があります。
特に「静かで古いイメージ」の伝統的なまちなみ地区では、広告文字を入れると一番変化が激しいという評価になりました。文字なし景観だと8点の高評価だったのに「特徴なし」の文字広告(auとseiyuの横文字広告)を入れると、2.52点まで下がってしまいました。
また「高級で疎遠」文字グループはオフィス街に入れてもさほど評価は変わらないのに、伝統的まちなみの写真に入れると3.69点にまで下がります。「大衆で疎遠」文字グループでは1.9点まで下がりました。唯一「高級で身近」文字グループ(和風の文字広告)を入れた時のみ、わずかですが評価が上がりました。
全体の中の最高点は8.69(伝統的なまちなみの中の和風イメージ広告)、最低点が1.9(伝統的なまちなみの中の大衆・疎遠イメージ広告)なので、伝統的なイメージのまちにどんな広告を入れるかで景観イメージが激しく上下することが分かります。
もちろん被験者が変わると結果は変わるかもしれませんが、文字広告が景観イメージに与える影響は大変大きいと言えるでしょう。
ピンク色で示した部分は、変化が比較的小さかったところです。むしろ文字広告を入れたことで、評価が少し上がっています。ただ上がり方はそんなに急激ではありません。「うるさいイメージ」の普通の商店街は文字が減ったら評価は上がったのですが、横文字を入れた方がもっと評価が上がる(3.1点→6点)結果になりました。被験者たちは「横文字を入れた方がカッコイイ」と判断したわけです。
また「高級・身近」「大衆・身近」の文字グループを入れても少し上がります。「大衆・疎遠」な文字を入れても3点から6点に上がりました。商店街のようなゴチャゴチャした所にはこんな文字が似合うと期待した心理に合っていたからかもしれません。
主成分分析で「特徴なし」と分類された文字グループは、商店街に入れると少し評価が下がりました。こんなふうに見ていくと、文字が風景に与える影響がかなり大きいことが分かります。
景観評価の関係
最後に文字がない景観と文字群との調和について評価してみました。文字群と写真の風景が調和しているかどうかで点数を付けてみたのですが、その点数と景観の評価の点数の相関係数は0.8977(無相関検定0.01以下)とかなり高くて、文字群がその場所にふさわしいかどうかが景観の評価に大きく影響している事が分かりました。
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