都市公共交通と環境デザイン
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LRT導入の背景

 

 今日、私はデザインに関するパワーポイントだけ持ってきたのですが、先ほど土橋先生がお話しされた、なぜ今LRTなのか、その利点、それから今の街が持ってる問題というものが、実はそのまま富山が持っていた問題でした。その背景があって、このLRT事業、路面電車事業が始まりました。

 市で編集したパワーポイントには、その辺りの背景や技術的な面、お金をどうしたかという話が書かれていますので、今日のテーマでもある「公共交通とまちづくり」という意味では、そちらのパワーポイントの方が相応しかったかもしれませんが、内容は先ほどの土橋先生のお話とかなり重なっています。

 簡単に説明しますと、富山市は全国で一位というくらい車保有率の高い市だそうです。ですからすぐ横のタバコ屋さんに行くのでも車を使うというふうに、市民が全然車から離れられないという状況が一つあります。

 それから人口はそんなに増えていないのに、大型店舗が郊外に出来たり、車が普及したりということで、都市がどんどん拡散しています。薄く広く広がってしまったために行政コストがものすごくかかるという問題がありました。

 また富山市も他の都市と同じように高齢化がどんどん進んでいまして、老人の方が車を運転できない、運転できないともうほとんど動けないという状況があり、頭を悩ませていました。

 そういう中で、この富山港線がクローズアップされました。

 これは後で出てきますが、もともとJR西日本の富山駅から北にある富山港に向かっていわゆるふつうの電車が走っておりました。これが富山港線です。富山港は昔、北前船の時代に貿易で栄えた港ですが、そこから都市に物資を運んだりしておりましたので、かなり栄えたそうです。今は乗客もどんどん減ってますが、これは人口が減っているのではなくて、皆、車に移ってしまったためなのです。

 それで乗客が減って、運転間隔も一時間に一本とか、多くても30分に一本とかになり、まあ悪循環ですが、不便だというので、また車に乗る。その結果、電車に乗ると人が少なくなるということで、非常に厳い状況にあったそうです。

 ところが、今から8年くらい前に北陸新幹線が通る計画が持ち上がり、それに伴って富山駅を連続立体交差事業により新しくすることになりました。そのためには、JRが乗り入れている富山港線も高架にしなければいけないわけですが、そんなに経済性の悪い電車を高架にすることが適切なのか、高架の場合のスペースの問題等、いろいろな検討がなされました。その結果路面電車化が選択されました。

 ですから、先ほど土橋さんの仰った今の日本の都市が持っている色々な問題とか、それからLRTの良さであるとか、そういうものを全部そのまま縮図として富山市が持っていて、たまたま連続立体交差事業というタイミングもあり決断したわけです。このように富山港線はスタートしました。

画像mi02
富山ライトレールの位置と概要
 
 場所は富山駅から北の富山港の岩瀬浜という駅までです。図の赤い部分に路面電車の軌道を新たに敷設する。ブルーの部分は既存の路線で、そのままの路線を使います。グリーンに見えているのが新駅です。ですから工事の範囲としては非常に少ないということでスタートしました。

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