今後、市は富山地方鉄道(地鉄)の路面電車の環状線化を考えています。そして路面電車を走らせるのと同時に、周辺街路も一体的に整備していく構想もあります。路面電車が走ることで街路環境も奇麗になることを目指したいと、富山市の方はおっしゃっています。路面電車はただ便利というだけじゃなくて、都市環境もよくなることも示したいということです。これはヨーロッパでは普通のことですが、日本ではなかなかうまくいかなくて、これから紆余曲折あるでしょうが、富山市の試みを今後興味深く見ていきたいと思っています。
また、富山駅が連続立体化されると、南北乗り入れが始まります。乗り入れが始まって環状線が出来て街路が奇麗になることが、富山市の当面の目標です。
将来は高山線など他の公共交通機関とのネットワークも視野に入っているようです。富山市の言っている「串と団子のまちづくり」とは、串は遠方で中距離路線、団子は町中のことで、町中はフィーダーバスやLRTなど人にやさしい交通機関でコンパクトにまとまるという構想です。
またグッズは人気あるのにどこで買えばいいのか分からないという問題もあります。拡販のシステムも考えないといけません。
それから、沿線整備が都市計画課などトータルデザインプロジェクトとは全然別の部署で進められていますが、それもトータルデザインとして見ていきたい。その部署を富山ライトレールの中に作るのか富山市の中に作るのかは分かりませんが、「デザインを管理できる部署を作ってください」とお願いしています。多分、北陸新幹線が出来るまでは、デザインメンテナンスも含めてやっていく必要があるのではないかと考えています。
もうひとつ大きな感想としては、デザインというものがまちづくりの中の効果的な要素として機能し始めたという実感がありました。我々にとってはとても嬉しいことです。もしひとつひとつがバラバラに発注されていたら、同じライトレールと言ってもここまで注目されなかったのではないかという気がします。やはりデザインは「個々のものがキレイ」ではなく、いくつかが集まった時に出てくる雰囲気が大事なんだと思います。
今日のテーマである公共交通にしても、日本の公共交通はみんなバラバラなシステムで運営されていてネットワークがほとんどない状況です。公共交通機関のトータルデザインは環境づくりの中で大事だと、しみじみ実感できたプロジェクトでした。今はこれがスタートなんだと考えている次第です。
以上で私の報告を終わります。ご静聴ありがとうございました。
今後の展開
コンパクトなまちづくりを目指して
中心市街地の路線延伸
重要なのは今後の展開です。今お話ししたのは富山港線だけで、100万人突破とは言え、まだまだコンパクトなまちづくりの一環にはなっていません。
デザインがまちづくりの要素として機能し始めた
今、我々は、開業してから臨時ダイヤやお祭りのお知らせなど張り紙がいっぱい貼られているので、それをどうしたらいいかと対応に追われています。サイン関係のメンテナンスは今後どうすればいいのかを考えないといけません。
このページへのご意見はJUDIへ
(C) by 都市環境デザイン会議関西ブロック JUDI Kansai
学芸出版社ホームページへ