〈乾亨氏の発表より〉
子供の成長を育む
「コミュニティの力」「空間の力」
|
竣工前は話し合いばかりじゃなく、将来は同じコミュニティになるのだから、ハイキングをして交流を深めています。作る段階でも「遊ぶ」ということは大事なんです。お互い仲良くなれますし、遊びの中から家づくりのいろんなヒントをつかんでいくのだろうと思います。 工事中も参加者を募って現場を見学に行かれたそうです。
| ||
|
ある住宅の内部です。コーポラティブなので、各家ごとにいろんな仕掛けやアイデアにあふれています。施主さんのイメージが形になっているわけで、ここは畳が移動する住まいです。
| ||
|
バルコニーは緑も育つ空中の庭にしようと話し合いました。今も緑がいっぱいです。
| ||
|
ここは「囲炉裏のある家」です。火のあるところにはいつも人が集まってきます。
| ||
|
囲炉裏のある家はユーコートで一番小さな住戸なので、子供部屋を確保するために屋根裏を使っています。中二階に上がる階段はボックス棚になっています。
| ||
|
屋根裏の子供部屋です。子どもはこういう空間が大好きです。よその子も集まってよく遊んだことが思い出として残っていると、20年後のヒアリングで答えてくれた人がいたそうです。
| ||
|
バルコニーが空中の庭なら垣根越しのお付き合いがしたいということになり、マンションによくある隔板はつくりませんでした。住みはじめると、庭ごしに声を掛け合ったり、雨の日に洗濯物を取り込んであげたり、長屋のような関係が見られるようになりました。
| ||
|
建物の中にも路地のような空間があり、そこでも緑が育っています。
| ||
|
集会所です。大人百人、子ども百人と言っていますが、ひとつのまちくらいの規模なので、これぐらいの集会所も必要になります。
|
(C)延藤 |
|
緑も段々と豊かに育ってきて、そこでお祭りが行われます。
|
(C)延藤 |
|
中庭の掃除をしたり手入れをしたりしている様子ですが、子どもも参加して、中庭を通じて大人と子どもの関係が生まれてきました。今回のヒアリングでも、「夏の盛りの池掃除のとき、大人と一緒に働くのがうれしかった」という声が聞かれました。
| ||
|
中庭で行われたお祭りの様子です。この時には紙芝居も行なわれました。これも大人と子どもの関係づくりのひとつです。「ソーシャル・アンクル」という社会学用語があって、子どもに語りかけてくれたり世話をしてくれるおじさんが地域には必要だというお話でした。
| ||
|
子どもも大きくなってくると、マンションのお祭りには参加しなくなってきます。そこで、高校生になった頃「お祭りで屋台をやらへんか。売り上げはお小遣いにしていいから」と言うと、喜んでお祭りに参加しました。これも社会に慣れ親しんでいく段階でのひとつの遊びです。世代を越えた交流が生まれているのです。
| ||
|
Uコートも20年を超えて、つい昨年、Uコートで育った元子ども達にヒアリングをしました。写真はそのときのワークショップの様子です。 子供たちが語ってくれたエピソードは冊子の中に紹介していますが、子供たちはおっちゃん・おばちゃんたちの見守りのなかで社会性を身につけ、中庭や個性的な住宅での遊びを通じて豊かな感性を身につけて成長しています。ユーコートという場、その「コミュニティの力」と「空間の力」は、少なくとも子育てにおいては有効だったようです。
|
(C)乾亨 |