見えた。これがデザインの力だ!
左三角
前に 上三角目次へ 三角印次へ

 

〈菅博嗣氏の発表より〉
つかう人たちが暮らしをイメージして、
つくり、そだてる

 

 菅さんは「住民参加」ということを自分のテーマとしてお考えになっていますが、よく言われる「参加型のまちづくり」「参加型の公園づくり」という公共事業での「住民参加」は、次の段階を迎えているのではないかというご意見です。

 行政は「参加型○○」をやりたがるけれど、菅さんはもっとブレイクダウンして具体的に「どういう人が何を求めているか」に向き合わないと、誰も使わないものが出来てしまうと言っておられました。菅さんは「住民参加」のまちづくりに関わりながらも、それを厳しい目で見ているわけです。

 今の公共事業は最初にその事業の枠組みを決めて、それを遂行していくための手段として「住民参加」があるようにとらえられがちです。しかし、公共事業の狙い(目的)が共有されずに住民参加はあり得ないし、「新しい公共」の概念が行政・住民双方にあることが「参加」の条件だろうと菅さんは主張しています。

 例えば、住民参加型の公園づくりでは、まず「何が欲しいですか」「そうですね、まずはブランコ」とすぐモノの話になってしまうのですが、それはマズイ。それより誰がどのように使うのか、どんな生活シーンをイメージしているかをつかみ取ることが大事だというのです。

 その具体的なイメージをつかむために、菅さんが考えたのが「未来絵日記」を描いてもらうという手法です。「こんな暮らし方がしたい」ということを絵にかいてもらうんです。写真でお見せする事業は、その手法を使って実現したプロジェクトのプロセスです。

画像ka02
(C)菅 博嗣
 
 横浜市の「まち普請事業」で、第一次、第二次審査を通った事業のロケーションです。国有地だそうですが、バス停前の道路のヘタ地のような場所です。土砂がむき出しで土も崩れてくるし、何とかしたい、花でも植えようと横浜市の「まち普請事業」に応募したら第一次審査に通りました。

 第一次審査に通ると、20万円の支度金が出ます。その20万円でコンサルタントを雇って、もう少し提案を整えて第二次審査に出せということになります。そんなわけで、菅さんは20万円で数ヶ月雇われることになりました。作られたプランが第二次審査を通ると、設計、監理、施工費として500万円が支給されるのです。決して十分な金額ではないですが、公共事業の発想やスタイルを大きく転換するモデルになると思います。

画像ka03
(C)菅 博嗣
 
 その頃の現状写真です。コンクリート壁は以前からありました。

画像ka04
(C)菅 博嗣
 
 地形の状況をつかむために、粘土で模型を作りました。

画像ka05
(C)菅 博嗣
 
 これが住民の方々に描いてもらった「未来絵日記」で、ここで何をしたいかを具体的に描いてもらいました。

画像ka07
(C)菅 博嗣
 
 みんなの要望をまとめて作り上げたプランです。

画像ka08
(C)菅 博嗣
 
 予算も少ないので、住民みんなで作り上げる作業になりました。

画像ka10
(C)菅 博嗣
 
 中学生も参加しました。中学校の美術部に声をかけて、富士見テラスの背景画を作ってもらいました。

画像ka12
(C)菅 博嗣
 
 小学生も参加しました。納豆のパックにセメントの粉をつめて、タイルを作りました。

画像ka13 画像ka14 画像ka15
(C)菅 博嗣
 
 みんなの作品がこのように現場に取り付けられました。

画像ka17
(C)菅 博嗣
 
 施工も住民主体です。この日は市長さんも駆けつけて、一緒に記念写真を撮りました。

画像ka21 画像ka24 画像ka25
(C)菅 博嗣
 
 手づくり開園式の様子です。こんな風な場所になりました。

 

 以上の報告のように、それぞれの発表では「つくる」「つかう」「そだつ」のプロセスの中に巧みに「あそぶ」を組み込んでいることが分かります。発表者それぞれで「つくる」「つかう」「そだつ」のどこに比重を置いているかの違いはありますが、4つのキーワードを一巡して見られるようなお話だったと思います。

 私の報告は以上です。

 後記。以上の報告は、フォーラムでの講師の皆さんのお話を元に、「共振し生き続けるデザイン」というテーマを、つくる・つかう・そだつ・あそぶというキーワードで展開していったものです。

このようなまとめ方は、講師の皆さんのお考えに必ずしも一致しているわけではありませんが、皆さんのお話から大いに刺激を受けて、僭越ながら、私なりの感想として取りまとめました。(中村)

左三角前に 上三角目次へ 三角印次へ


このページへのご意見はJUDI

(C) by 都市環境デザイン会議関西ブロック JUDI Kansai

JUDIホームページへ
学芸出版社ホームページへ