ファサードという言葉については、この半年間、委員会でいろいろ議論いただきましたが、広い意味でのファサードという前提で話そうということになりました。
シンポジウムでは、私にとってはショックな言葉でしたが、まず井口さんが「ファサードはモノである」ということを強く主張されました。それに対し忽那さんが「空間の使いこなしである」と主張されました。
そういうふたつの議論がありまして、多岐にわたる議論が盛り上がりました。
その中で印象に残ったのは、「アクティビティに捕らわれすぎると、商業主義に流されファッションになってしまう」というお話でした。
だからこそ我々は、都市をモノとして自覚して、さらにデザインが最後の砦であることを自覚することが重要ではないかという話になりました。
また会場から「グローバル化した社会の中で、日本人に合ったデザインを開発する必要があるのではないか」というご意見がありました。
それから「使いこなす」という視点から言うと、建築は使いこなされることでデザインの力を発揮できるのだというご意見もありました。
ファサードはまちの大きなサインになっているものですから、人の記憶に残るファサードを連続させることで良い街並みになっていくのではないかということです。
北川フラムさんが越後の妻有の成功について質問され、「存在するものの中で良いものは出来る限り残していく。それが成功した秘訣だ」と答えていたことと通じることだと思います。
このキーワードで私が気に入った解き方は、岸田さんがおっしゃった「ファサードを女性のお化粧に例えると・・・」という話です。「土台が悪ければお化粧してもムダ」とおっしゃって、私は女性参加者の反感を買うんじゃないかとヒヤッとしたのですが、
最後に「私の役目は笑顔のきれいなまちを作ることだ」とうまくまとめておられました。まさに「笑顔のきれいなまち」はデザイナーである私たちも目指すべき事だと共感いたしました。私としては、ファサードはまちの元気を作り出す力があるのだと確信できる議論でした。
キーワード2:ファサード
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