路地からのまちづくり
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路地を活かしたまちづくりタイプの創設

 

駒ヶ林の課題〜路地の保全と建替の促進

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路地を活かしたまちづくりタイプの創設
 
 さて、松原さんから説明がありましたように、現在神戸市長田区駒ヶ林町一丁目南部地区で路地の保全を目的とした近隣住環境計画を進めつつあります。

 駒ヶ林町一丁目南部地区がどんなエリアかというと、図中の色塗り部分が約20haの巨大な震災復興再開発が行われている新長田南地域です。また、赤点線の範囲がいわゆる密集事業地区です。

 20階以上のビルがたくさん建っている再開発地区のすぐ南側が駒ヶ林にあたります。近くには先ほどいかなごの話も出てきましたが、漁港がある所です。

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駒ヶ林の歴史と現状-大正期の長田南部
 
 これは大正初期の長田です。全部田圃で耕地整理もやっていません。ため池があります。

 海岸に近い一部分に集落がありますが、集落の西側の浜は『少年H』という本の中で主人公が泳いでいた辺りです。この辺りが昔は海だったということです。

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大正初期の駒ヶ林の町割りの様子
 
 これはその頃の町割りの様子です。先ほど松原さんの話にもありましたが、かなり綺麗に家の表・裏に道が入っています。これはなぜかというと、漁村なのでいわゆる入口側の道と漁具を出す裏道の二本に接している必要があったからだと聞いております。

 今回の計画地は一丁目ですが、実はここより他の丁の方がはっきりとした町割りというか路地割りが出来ていました。

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耕地整理後(大正11)の長田南部地区
 
 耕地整理後は、きれいな100mグリッドの区画ができましたが、何故か駒ヶ林の辺り(青の点線で囲まれたところ)は耕地整理されずにそのままになっています。


駒ヶ林での近隣住環境計画の狙い

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駒ヶ林での近隣住環境計画の意義
 
 さて、駒ヶ林で近隣住環境計画をやる意義について、私の考えをまとめてみました。

 先ほどもご紹介しましたが、駒ヶ林は源平の故事が残る非常に古い歴史があると言われている漁村です。住民はその特徴的な路地を残したいという思いを持っています。

 私からすると「路地こそ駒ヶ林」と言っても間違いではないと思います。路地以外はそれほど古い建物が残っているわけではありません。町内でも色々話し合って、路地こそが第一、路地を残したいという思いがあります。

 それから建築基準法が建替えのネックになっています。違法で建替えれば別ですが、道路の中心から2mセットバックとか、建ぺい率60%を守りますと、敷地や建物が小さくなってしまうため建替えが事実上できないケースがあります。そのため外へ出て行くということになって、流出人口が増加しています。特に若い人の流出が顕著です。

 また、建替えが進まないので防災性能があがらないわけです。できるだけ建替えを促進して、建物の防災性能を上げることができれば、街全体の防災性能の向上もできるのではないか、ということもあります。昔から区画整理や再開発も議論してきましたが、そういうのは似合わないし、街として失うものが大きいのでダメだという考えがあります。

 それは、4m道路でも広すぎてこの街には似合わないということです。私などは本当は2.7mでも広いんじゃないかと思っています。

 このようなことで、なんとか路地を残せるまちづくりをしていこうと考えているわけです。


駒ヶ林1丁目南部の路地の現況と路地を活かしたまちづくりタイプの必要性

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駒ヶ林1丁目南部の路地の現況
 
 駒ヶ林1丁目南部の路地の状況です。

 図中のブルーの線が建築基準法上のいわゆる二項道路です。どれも部分的には幅員は2mありません。焦茶色は建築基準法上の道路ではない路地です。ですから半分くらいが建築基準法上の道路で、それ以外は道路にはなっていないということです。前者は道路中心から2mセットバックすれば建築できますが、後者は建築基準法上の道路ではありませんので、建築敷地は道路に2m以上接しなければならないという法にあわず、このままでは建て替えられません。

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駒ヶ林の路地(銀座通り)
 
 一番上の写真が駒ヶ林の銀座通りと呼ばれている割合広い道です。

 その他はかなり狭い道です。

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駒ヶ林の路地 やすらぎ小路
 
 先ほど紹介のあったやすらぎ小路です。2項道路の中心を決めると、舗装整備を神戸で行いますという細街路整備事業で土系の舗装した後の様子です(写真左下)。この事業は将来はセットバックで4mに拡幅されるというのが建前の事業ですが。

 非常に狭い、1.1mくらいしかない路地に、共同住宅とアパートが面している所もあります(写真上)。

 それから、路地の中に昔の共同水洗の跡があり、潤いのあるほっとする空間が一カ所だけできていたりします(写真右下)。

 以上が駒ヶ林1丁目の状況です。

 駒ヶ林は1〜6丁目までありますが、ほとんど同じような状況です。これより少し悪い状況の丁もありますし、少し良い丁もあります。こういうところだからこそ、路地を保全しつつ建物の更新をはかる路地保全タイプが必要なのです。

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