路地からのまちづくり
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路地を活かしたまちづくりタイプの内容

 

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路地保全タイプの内容
 
 駒ヶ林の路地を活かしたまちづくりタイプの近隣住環境計画の内容ですが、まず、道路幅員は原則4m以上なければダメだけども、やむを得ない場合は中心から1.35m〜2m、つまり幅員2.7m〜4mでも道路として指定することが出来るという建築基準法42条第3項の水平距離指定を使うものです。ですから、ここでは2.7mの道も建築基準法上の道となり、そこに接道する建物の建替も可能となります。

 神戸の南京町に行ったことがあると思いますが、あの辺りの南北の道はほとんど水平距離指定をした3mです。ですからそういうこともできるということです。

 次は43条但し書きについてです。43条は建築をする際には建築基準法上の道路に2m以上接しなければならないと定めていますが、ただし書きで「その敷地の周囲に広い空地を有する建築物その他の国土交通省令で定める基準に適合する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したもの」なら良いとされています。

 要するに接道の無いところでは、その代わりの空間を空けなさい、神戸市では道路上のものから2m後退すれば建築することを許可しますとなっています。これを緩和して中心から1.35mで許可することを考えています。

 それから46条「特定行政庁は、街区内における建築物の位置を整えその環境の向上を図るために必要があると認める場合においては、建築審査会の同意を得て、壁面線を指定することができる」を使って、壁面線指定をやろうと考えています。これはもともと一方が広い道路に面していて、そのため路地に面している側は後退する必要のない敷地でも、何とか後退してもらい路地を担保するため、46条の壁面線の指定をし、そのうえで角地緩和を使おうというものです。

 このように規制したり緩和したりして建築基準法の弾力的な運用を図った近隣住環境計画を定めようと思っています。

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駒ヶ林1丁目南部路地計画変遷
 
 この計画の変遷をみますと、まず平成14年に松原さんに調査業務を委託して、これが良かろうという計画案が出されました。地区の中にプラスの形に4m道路を通して、他の所は2.7mの狭い道路とした、見た目も理想的で綺麗な形の計画です。

 その後平成18年度当初に、住民の皆さんとの検討の結果、現実を踏まえて考えていくとなかなか難しいところがありしました。例えば一昨年にある家が建替えたのですが、その横の道が建築基準法上の道でないため、今からそこを広い道に指定するのもなかなかしづらいということもあって、少し計画を変えました。

 この計画案を持って住民さんともお話させてもらって、最終的には4mの道がL型に入り、あとは2.7mの道の計画となりました。当初案よりは多少安全性に問題があるかもしれませんが、住民意向として、また現実的な話として、こういう計画であればやっていけるということで決まりました。

 これを来週(2007年2月末)、権利者の方にできるだけ沢山来て頂いて説明しようと思っています。

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近隣住環境計画(案)
 
 これが計画の詳細ですが、大路地とか中路地とか小路地とかという名前を付けております。大路地というのは幅員4mになる道で、小路地は2.7mの道です。中路地は複雑ですが、43条の但し書きで自由にやってくださいという所がプラン上どうしても出てきまして、そういった所は路地の中心から2m下がりますので、全体としてはまあ3mくらいになるかなということで中路地としています。

 それから図中の黄緑色は建築基準法上の道ではないので、本当は無くしても良いのですが、実はこれはほとんどが公道です。地図上では公道の位置も幅も分からないのですが、公道であるためとりあえず残されることになった路地です。

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道路と建物の防災機能の考え方
 
 このように道は規制緩和しますけれども、建物の防災性能としてはグレードアップしましょうということになりました。内装制限を設けたり準耐火構造以上にしたり、2階建以下という構造制限をしております。

 これは神戸市に43条但し書きの包括同意基準があり、その基準を引っ張ってきて建物に制限を加えています。

 さらに、1丁目南部自治会がかなり活発に活動し地域のコミュニティを高めていますので、このようなコミュニティを地域力として評価し、消防活動を行ったり防災福祉コミュニティを作ったりすることで、地域の防災性能にプラスされると考えています。

 さて、この駒ヶ林の近隣住環境計画ですが、できれば今年の夏には告示をしたいと思っています。

 来週住民の方々に集まって頂くのですが、権利者の方々が一体どういう反応をされるか、楽しみかつ不安なのところです。

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もっと素敵な路地
 
 最後に、全然駒ヶ林とは関係ないのですが、今日は路地の話だとういうので、私がとても気に入っている、神戸市灘区福住通り三丁目の路地をご紹介します。

 建築基準法上の道は確か図中上の東西に走る大通りと平行する一本南の道で地区の半分の延長だけです。それ以外はすべて建築基準法上の道ではありません。

 ただ、写真のように2mくらいの幅員で綺麗に塀が並んでいますから、もしここを2.7mにしたら、塀も全部とらないといけなくなります。

 まあ住民さんが別にどうかしてくれと言っているわけではないのですが、どうしたらこれを残すことができるのかなと思案しているところです。また良い知恵がありましたらご協力頂きたいと思っております。

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