ミナミはよみがえるのか
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具体的な活動

 

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活動の柱
 
 宗右衛門町の具体的な活動は、街のルール化、市民ディベロッパー活動、道づくり、組織作りの4つの柱を中心に、持続と活性化のために取組むことを基本に行うことにしています。


組織作り

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組織づくり
 
 宗右衛門町は、もともとは町会であったものが、商店会になり、現在振興組合になろうとしています。振興組合化を目指す理由は、本格的なまちづくり活動を持続的に行うためにその基盤となる組織を強化することにあります。資金確保やエリアマネジメント組織としての活動を積極的に行うために、設立要件として、街の3分の2の合意を必要とする現在の歓楽街では、ほとんど不可能と言われている振興組合化を目指します。

 隣の店の内容も人も知らない状況に加え、さらに人や店が入れ替わる環境を乗り越え、これまで町会費程度の商店会会費を、その10倍近くの会費に変えていく取組みを街が進め始めました。

 その困難を乗り越える日は近く、ほぼ3分の2の同意を確保でき、8月には設立総会を行い、9月に大阪市の認可を受けられそうな段階になっています。


街のルール化

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街のルール化
 
 商店街は緩和措置が活性化に繋がるという考え方もあり、府条例第2条で学校、保育所、病院・診療所の敷地の周囲おおむね50mの区域で制限されている風俗営業が、このエリアでは制限されていない状況になっています。言い換えれば、何をしてもいいエリアになっているため、現在の宗右衛門町のように、悪くなることに歯止めがかけられない状況になっています。

 まちづくり宣言を行い、街の目指す方向性が定まった宗右衛門町では、街の将来像にむけて街のルールづくりを行っていくことにしました。基本的な用途制限や景観協定、看板のルール化を行います。今まで宗右衛門町をはじめとする大阪の歓楽街、繁華街では、商店会の会則や規約で、都市計画などで規制している用途などの規制を行っていました。それゆえ、会則や規約のレベルでは、裁判に勝てないということも体験しています。地区計画や景観協定は、街の無秩序に悩む商店街にとって、とても魅力的なものです。アプローチの仕方によっては自分の土地に制限がかかってくることに抵抗を感じられる人もいますが、事細かに書かれた商店会の規約が機能しない時もあるため可能性のあることは全て実行していくといった意気込みが宗右衛門町をはじめとしたミナミの商店会にはあります。このことは、他の商店会においても同じことなのかもしれません。


地区計画、景観協定の概要

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地区計画(部分)方針
 
 地区計画では道頓堀側と宗右衛門町通りの間(川側)と宗右衛門町通りの北側を分けて考えました。川側はセットバックをして道幅を広げ、その敷地を道路用地とせずに多目的空地としセットバックした空地分では、街の賑わいのための植栽や看板など少しはみ出してもいいように考えています。さらに、賑わいを取り戻すため1,2階の用途を定め、地区全体としての用途制限も行うこととしました。それらの概要を検討し、先日まちづくり説明会を開きました。

 地区計画と同時に、地元の特徴をさらに作るために景観協定でも、いろいろなルールを今後の検討の中で定めていきます。


看板のルール化

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看板のルール化
 
 1昨年、看板ルール化の前提として、宗右衛門町では、『置き看板等ゼロ』活動を行っています。まず2月までに40cm、そして5月までに0cmと段階的に置き看板をなくしていく活動です。活動は、「退けろ」「退けろ」と戦う形を取るのではなく、街の人達がお願いに回って同意書を取っていくことから始めました。

 その活動の中で、道路上に看板を置くことが違法行為であることを知らない人も多く悪意ばかりではないことを知ることとなりました。しかし、罵倒されるような場面も度々あり、それでも、続ける街の人達の努力は、まちづくりへの強い意思を感じることができます。今はほとんど道路上に看板は出ていない状況ですが、油断するとすぐまた出てくるため今も尚、持続的に活動は続けられています。

 この置き看板等撤去の行動も、活性化協議会のまちづくりミーティングで検討し行動しました。話し合いの中で、麻雀等の一般客を必要とする業種や2階以上の店舗では、置き看板がないとつぶれるという意見も数多くでました。様々な議論を重ねた結果、宗右衛門町が本当に良くなるのであれば、完全撤去を実行すると言う結論を出しました。これが波及して、周囲の商店街などでも『宗右衛門町で出来るんやったら』と、看板撤去に動き出しました。前向きの連鎖反応がミナミ全体に広がりました。

 看板撤去後も何らかの対策が必要であると対策を検討しました。看板対策は、宗右衛門町にとって重要であり、特にペンシルビルの2階以上の店舗の対策に関しては、国土交通省の「通り名表示」による道案内の社会実験を行うことにしました。日本の街区単位での住居表示とは違って、街路名と位置番号を用いた表示を用いることで、店舗の位置をわかりやすくする実験です。

 街路名と位置番号に加え置き看板の代わりに、携帯を使ったQRコードによる店情報を発信していくことも同時に実験を行います。このQRコードの表示は、振興組合と連動させ、表示される店は振興組合に加盟している優良店という識別ができることも取り入れ、歓楽街に最も必要な安全・安心を街に訪れるお客様に伝える手段としても活用できる効果があるかを社会実験でみてゆきたいと考えています。


市民ディベロッパー活動

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市民ディベロッパー活動
 
 市民まちづくりファンドとして、50億円規模のファンドが立ち上がったと、NHKのニュースで報道されましたが、1年半以上かけて検討していますが、秋に、発足はおろかまだ、課題が山積みされた状況です。

 市民まちづくりファンドの検討は、活動の資金的問題をどう解決するのかということから始まりました。街の大きな課題である、魅力的な店がない、魅力的な街でない、空き店舗や無料案内所が多い、古い建物が多いこれに対する対策を検討し始めた際に資金調達のひとつの手段として市民まちづくりファンドの検討が始まりました。

 まちの将来像を定め、ルール化を行い、次に必要な具体的活動としてディベロッパー活動を行うことに至りました。この市民ディベロッパー活動は、宗右衛門町だけでなくミナミの他の商店街でも必要であると声が上がり市民ディベロッパー活動の検討は、ミナミエリアの検討として議論され始めました。まずは、各商店会が目指す目標をはっきりと定め、ミナミエリアとしてのルールブックづくりに取り組み、それと同時にテナントリーシングの仕組みや資金調達の方法を作っていくために進み始めているところです。

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ミナミタウンマネジメント組織イメージ
 
 市民ディベロッパー活動は、「部屋をおさえたい、ビルをおさえたい、いい店に入ってほしい」ということを積極的に目指していくものです。宗右衛門町の場合、土地は古くから持っている人が多く、街としては、そういう人に残っていてほしいと考えながら検討しています。土地を積極的に買っていくよりも、部屋、ビルといったものを対象に活動していくには、どう進めていくのかを現在検討しています。

 ミナミでは、既に自らのお金で、街に影響を与える空きビルを押さえ、改装およびテナントリーシングを行う人もいます。しかし、問題のあるビルや部屋が多いこの街では、すぐに限界が来てしまいます。そんなことを議論している中で、みんなの財布を一つにして活動したらいいのではないかという話が進み、これがファンドの検討に至りました。

 みんなの財布を一つしたお金を元手に融資などを行う、ゆるやかな取り組みを作っていけないかと考えていたのが、NHKで取り上げられる前のファンドの形態でした。土地を買うと償還できないのですが、ビルを建て替える程度であったら償還できる、一般のファンドが行うようなものではなく、ローリスク・ローリターンのファンドの実現を目指して様々な角度からの検討をはじめています。

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市民ディベロッパーの仕組みの研究
 
 いろいろ組織イメージを考えてきたのですが、頭で考えるばかりではだめだということで、この街に合った仕組みを作ることを目標に、オーナーヒアリングを行っているところです。

 話をしていくことで、みなさんの意識も少しずつ変わってきているのかなとも思います。具体的な取り組みとして、宗右衛門町で何軒かを共同建て替えできないかなと考えています。その際、実際に専門的な人をお金を払って雇うのがいいのか、組織の中に抱えるほうがよいのかなど、様々なシミュレーションを行っています。

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 街が、自らテナントリーシングするという計画では、地縁によるテナントリーシングを進められないかと検討も始めています。商店街のナショナル化に対して、そこにしかない固有の店舗などを集積してゆけないかと言う試みです。

 目指すところは、高島屋、南海、近鉄、大丸、そごうなどの大企業の参加、ナショナルチェーン化しないように地縁の組織の参加、さらに学校という組織が参加してテナント誘致を行っていくことを検討し始めました。

 宗右衛門町では、食と酒の街を目標としていることもあって、「宗右衛門町に行ったらおいしいお店がある」ことの実現を目指し調理師学校などとタッグを組んだ取り組みができないかと検討を進めています。

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