川づくりに都市側がどう関わるか
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3。流域委員会の提言について

 

流域対策

 基本高水の流量を4651m3/sと決めましても、この流量分担から見ると流域対策も必要です。我々は流域対策の話もしています。学校貯留、公園貯留、ため池、水田、防災調整池などで111m3/sを確保したいとしました。

 たとえば防災調整池は下流域の河川の整備が1/30年の確率雨量に対応できれば、なくてもいいとされ、土地利用更新のために埋められることがあります。しかし、ポケットとして残して集中豪雨の際に寄与させるべきであると提案しています。県も条例の見直しも含めて前向きに検討したいとしています。

 ただ水田貯留については、豪雨の時に堰板操作で20〜30cm溜められるものなのかという疑問もあります。先日の大雨の時は田んぼを見に行った人が流されたこともあって、このやり方はリスクが高いということになりました。数量的には当初提言した数字から削減した数字が県から出ています。

 学校、公園貯留は担保性の問題から、100%の確保は難しいと数字的には下がっています。

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流域委員会の提言について
 

河道対策

 河床掘削、低水路拡幅、高水敷掘削等をしていって、3700m3/sを将来的に確保したいと言っています。ただこれも今すぐにはできなくて、いつできるかが問題なんですね。いろんな堰がありますし、あまり深く掘るとJR、阪急の橋脚に影響を及ぼしてしまいます。当然事業費も莫大なものになります。そういう投資が出来るかという問題もあります。


洪水調節施設

 これについては遊水池や既存の利水ダムの治水利用、新規ダム等で貯留施設にするという話があります。先ほどの流域対策で111m3/sを確保する前提で、洪水調節施設では840m3/sの確保を目指します。

 ただ遊水池については、三田などの中流域で田んぼを遊水池として活用できないかとも提案したのですが、遊水池にするためには田んぼを掘削しないといけないのです。また民地ですから用地買収費もかかってしまいます。ですから、今のところは県の所有地である流域下水のための拡張用地を活用できないかという想定でやっています。見直しはあると思っています。


整備計画における目標流量の設定3450m3/s

     
     ・流域対策(学校18、公園7、ため池37、水田22m3/s)計84m3/s。
     ・河道対策(現況流下能力、20〜30年間に可能な治水対策等から)計2800m3/s。
     ・洪水調節施設(青野ダム現行250、青野ダム事前放流50、丸山ダム事前放流42、千苅ダム事前放流173、遊水池50m3/s)計565m3/s
     ・新規ダムの位置づけ:流域委員会としては、圧倒的多数が整備計画では新規ダムを位置づけない、または新規ダム以外を優先的に検討するという意思を表明しました。現時点では新規ダムなしでも目標流量への対応が可能になっており、新規ダムの持つ環境課題を乗り越えてダムを選択することは困難であるという意思決定を全会一致でおこなった。
 
 目標流量は3450m3/sで、新規ダムは位置づけないことを意思決定しています。あとは流域対策として学校・公園貯留、森林の保水機能、雨水浸透型の施設などいろんな話をしています。それから宝塚新都市など大規模開発予定地の未利用地で雨水流出抑制機能ができないかと提案していますが、実はこの案はすごく嫌がられています。でも、うまく使えるなら未利用地の活用を考えてもいいのではないかと思います。

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