川づくりに都市側がどう関わるか
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5。武庫川づくりに向けて都市側からの提言

 

水害に備える都市づくり

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都市側からの提案骨子
 
 都市側から武庫川づくりに向けての提言として、ひとつには超過洪水、危機管理について考えるべきだと思います。

 どれだけ洪水対策をしていても洪水が起きるときは起きるものです。だから、起きても大丈夫な備えをしておきたいということです。

 つまり、川の中だけで対応するのではなく、都市側でも土地利用政策あるいは建物政策として水害に備える都市づくり、まちづくりが必要であると提言いたしました。

 例えば、武庫川流域には旧公団とか仁川団地があるのですが、それらの建物の建て替えの時に敷地内の一部を遊水池にするとか。こういうことをそれぞれの事業者が考えていくべきだし、民間のマンションも川べりで計画する場合は地下調整池みたいなものを作るようにするとか。公営住宅なら川側の事業と都市側の事業を共同でやってみるなど、です。

 それらの他、官民共同による減災システムの構築も必要になってくるでしょう。


利水・環境・まちづくり

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都市側からの提案骨子(続き)
 
 まちづくりという視点に立って考えると、まずは武庫川を知る、楽しむ、付き合うためのツールをどんどん作っていくことが大事だろうと提案いたしました。できればそうした武庫川についての知識を出版したいという話になっています。

 あとは、武庫川に関わる地域資源などを、人のネットワークも含めて構築していこうという話になっています。また川づくりにつながる川の学習も考えています。こうした作業は「流域文化」という概念でやっていきたいと思っています。

 流域景観の保全と創出については、武庫川100年の風景づくりを川側と都市側が共同でやっていくべきです。峡谷景観については、ダムの話と絡んできますが、六甲山系につながる大きな大自然の緑の帯の中に人工的な構築物は本当に必要なのかということから考えていきたいと思います。世界的にはどんな例があるのかも知った上で検討しないと、単にアセスメントをクリアしたから大丈夫というわけにはいかないでしょう。

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阪神都市圏における武庫川峡谷の位置と自然公園等指定状況
 
 また、河川敷を公園にしていることも見直すべきでしょう。都市部は公園用地がないから、どうしても河川敷を公園にして緑地ポイントを増やそうとする傾向があるのですが、川にとっては洪水対策として少しでも幅を広げて容量を確保したいところなんです。そんなことも含めて、都市のあり方を見直すべきじゃないかと思います。

 それから、水路を利用した水と緑のネットワークをもっともっと作っていきたい。つまり、都市側と武庫川のネットワークがもっと必要ではないかと提案いたしました。

 今後こうした広範な活動をしていくためには、それを推進していくための母体、武庫川流域圏会議、武庫川学会などが必要になってくるでしょう。また風景条例を作った先進的な兵庫県ですから、流域治水を進めるためには都市側とリンクできるような総合治水条例も必要だと提案しています。

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武庫川「川まち交流拠点」整備イメージ図
 
 時間がせまりましたので、私が委員会の中で提案し、今後流域をあげて構築しようとしている一つの構想について述べます。

 武庫川の上流、中流、下流の縦のつながりと、沿川の地域やまち、農山村の横のつながりを結びつけ、地域のまちづくり及び川づくりの情報発信拠点として「川・まち交流拠点」の整備です。「川・まち交流拠点」の特徴は、(1)川そのものを上流から中流、下流と連携強化し一体として保全整備する意識を促進する、(2)多様な周辺地域やまちと縦軸の川を連携強化することにより、川と一体となった地域整備やまちの魅力強化、活性化に寄与する、(3)「川・まち交流拠点」が環境学習、防災、交流、休憩、案内など多目的の機能を発揮する等です。この仕組みを極力既存施設や資源を活用して整備し、かつ認定制度等により整備することにより、財政的負担を伴わず、また、市民、企業、大学、行政等の参画と協働により実現することができると考えています。真に武庫川を地域の川として捉え、川とともに生きる地域社会をもう一度復活するキッカケとなると考えています。

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